川崎フロンターレのMF中村憲剛(40)が1日、クラブの公式チャンネルで今季限りでの引退を発表した。

スーツ姿で登壇した中村は「私、中村憲剛は、今季限りで引退します」と自らの口で明かした。40歳で引退を決めたのは35歳の時から秘めていた。

30歳を過ぎたとき「1回、35歳まで頑張ろう」と1つの区切りにしていたが、風間八宏監督が就任し技術を駆使したパスサッカーに挑み、チームも中村個人も右肩上がりとなり、35歳の引退の発想はなくなっていた。35歳を迎えたとき「40歳まで」と次の区切りをつけた。36歳でMVP、37歳でリーグ初優勝、38歳でリーグ連覇、39歳でルヴァン杯優勝。「終わりが決まったからこそ、これまでの苦労がうそのようにタイトルが手に入った」。その後、(左ひざの)前十字靱帯(じんたい)を切りこの1年はリハビリと戦った。「復帰した姿を見せて引退するんだと。今季で終わると決めていたので、そこからのリハビリを耐えて1日でも早く試合に戻ると。そこで、引退するという強い気持ちがあったからこそ、ここまでの5年が引き寄せられたと思っている」と振り返った。

復帰戦となった清水エスパルス戦でゴールを決め、40歳の誕生日を迎えた10月31日のFC東京戦で初のバースデーゴールを決めた。「自分でもビックリ。この年齢でこういうことがおきていいんだろうかと」と不思議な出来事が続き、サッカーの神様へ感謝の思いを口にした。

インタビュアーは中西哲生氏。中西氏が「鬼木監督から、引退を引き留めてこい、と言われた」と明かすと、中村は「オニさん(鬼木監督)のコメントが一番の賛辞で。この年齢でそれだけ(戦力と)求められる選手のままで引退したいという思いもあった」と引き際の美学への思いを口にした。