J1ベガルタ仙台などを運営する株式会社ベガルタ仙台の菊池秀逸社長(68)が27日、辞任を発表した。

任期は21年4月までだったが、来月14日の臨時株主総会を最後に退任する見込み。クラブは経営危機に陥り、20年度は3億円超の債務超過の公算。さらにチーム成績は最下位に低迷し、10月にはMF道渕諒平(26)の不祥事が一部報道で発覚し、対応が後手になった。これらの理由から13日に進退伺を出し、この日の臨時取締役会で渡辺雅昭取締役(63)の退任とともに承認された。

後任の新社長候補者は、ベガルタ仙台・市民後援会理事長で、クラブの経営検討委員会委員長を今年も含めて2度務めた佐々木知廣氏(64)に決定した。来月14日の臨時株主総会で取締役に選任、その後の臨時取締役会で正式に新社長に就任する見込みだ。

菊池社長はオンライン会見で「ここ数年の入場料収入やスポンサー収入の伸び悩み、累積赤字やコロナウイルスの影響で今年度末で3億円の債務超過となる見込みで、10月に所属選手の不祥事が公になり、管理監督のあり方について厳しく問われた。チーム成績は最下位と低迷し、ホームはいまだに未勝利。クラブの最高責任者として大きな責任を感じている」と話し、「私自身、経営再建に必要なサポーターやスポンサーを始めとする関係者等からの迅速な信頼回復やチーム強化に支障が出かねないと思い決断しました」と辞任理由を説明した。

新社長候補の佐々木氏は菊池社長を通して「いちサポーターである私の社長就任要請には正直驚きましたが、市民クラブであるベガルタ仙台の再建のため、市民、サポーターのみなさんと気持ちをひとつに尽力したい」とコメント。ユニホーム鎖骨部分の新規スポンサーが内定するなど、明るい話題もある。厳しい道のりは続くが、新たなリーダーの元から再出発する。【山田愛斗】