15年ぶりにセレッソ大阪に復帰した元日本代表FW大久保嘉人(38)が2日、キャンプ地宮崎で日刊スポーツのインタビューに応じた。プロ21年目の今季、初めてベスト体重でキャンプに臨んだ決意や、シーズン中でも引退する可能性があることに言及。今季の目標を含め、本音で心意気を語った。4日には今季初の練習試合をJクラブと行い、新生大久保がお披露目される。【取材・構成=横田和幸編集委員】

   ◇   ◇   ◇

宮崎キャンプ3日目を終え大久保は、過去にはないシャープな体つきをしていた。公称体重は73キロだが、今季はベストの70キロまで絞って始動した。プロ初の試みだという。

「実はプロ入りから20年間、いつも5~7キロ太って始動していた。だからキャンプでご当地のおいしいご飯を食べたことがない。やせるしかなかったから。でも今年は違う。オフは個人トレーナーと、やばいくらい練習した。体はすごくキレている。いつでも試合はできる状態」

最初から体を絞って臨むのは、定位置を約束された立場ではないから。4日には今季初の練習試合をJクラブと行うが、いきなり出場する可能性は高い。

C大阪復帰が決まった際は、一部サポーターから「なぜJ2東京ヴェルディで昨季無得点だった38歳の大久保を取るのか」と批判された。

「批判は慣れていて、川崎フロンターレに移籍する前年の12年、(ヴィッセル)神戸で4点しか取っていない。『31歳の大久保をなぜ取るんだ』と言われ、めちゃくちゃたたかれた。(それでも13年から3年連続得点王になれたのは)FWという位置は、パスが来るか来ないかだから。もちろん、前提としてオレが頑張らないといけないが、川崎Fには中村憲剛さんというパサーがいたし、C大阪にはキヨ(清武)もいるから楽しみです」

6月に39歳になる今季、引退を覚悟して古巣に移籍してきた。

「完全燃焼したら引退するという美学ではなく、自分の感性で『もういいや』と思えば、たとえシーズン途中でもやめる。それは18歳の時から思っている」

C大阪で最後に得点したのが06年11月11日ジュビロ磐田戦だった。あれ以来のゴールを27日の今季J1開幕柏レイソル戦で期待される。

「覚えてます。あの時は左足のミドルだった。(開幕後も)オレが点を取ればJ1通算最多得点(現在185得点)も更新していける。先発でも途中出場でもいい。今季も5人の交代枠がある。先発11人で勝つもんじゃない。(新入団会見で掲げた)通算200ゴールもあるが、まずはタイトル獲得です」

◆大久保嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日、福岡県生まれ。国見からC大阪入り。04年マジョルカ、07年C大阪から神戸へ。08年ウォルフスブルク、09年以降は神戸、川崎F、東京、川崎F、磐田、J2東京Vへ。04年アテネ五輪、10、14年W杯日本代表。国際Aマッチ通算60試合6得点。170センチ、73キロ

◆おことわり この取材は記者のPCR検査陰性証明書をクラブに提出し、選手と距離を保つなど感染症対策を施して実施したものです。