鹿島アントラーズはセレッソ大阪に1-0で競り勝った。C大阪が堅守からのカウンター狙いを徹底する中で、なかなかブロックを崩せず、攻めあぐねた場面もあった。試合が動いたのは後半27分。鹿島の前線からのプレスに慌てたC大阪の最終ラインがパスミスし、MF土居聖真が高い位置でボールを奪うと、ゴール前に上がったMF荒木遼太郎へパス。荒木が冷静に右足を振り抜き、待望の先制点を挙げた。以降、ピンチもあった中で守備陣が奮闘し「ウノゼロ」で勝ち点3を手にした。

22日のアウェーでのサガン鳥栖戦で、相馬直樹監督が就任後、初めて公式戦で黒星を喫した。そこから立て直す意味でも勝利は絶対条件。苦しい展開の中で相手の隙を突き、先制して逃げ切る鹿島らしい戦いで結果を出した。相馬監督は「我々にとってリスタート。敗戦からどう立ち直るかを見せないといけないゲームだった」と振り返り「我々のプレスから生まれた(C大阪の)ミスで、決めきったところが重要。選手たちがもう1度、自分たちがこれまでどうやって勝ち星を重ねてきたか、チャレンジするところ、1歩でも前へ出る姿勢を持ちながら戦った上での勝利で、非常に次につながるゲーム」と総括した。

我慢の時間帯ではしっかり我慢。ハーフタイムには選手から「もう1つギア上げないと勝てないよ」と言う声も出ていた。後半は各選手がゴールへ矢印を向け、前からのプレス、迫力ある攻撃を続けた。トップ下で先発したMF小泉は「今、球際で強度高くプレーできているので、そこで上回れたので勝てたのかなと思います」と胸を張った。

次節は首位の川崎フロンターレ戦だ。首位を独走する川崎Fは現在、開幕から19試合不敗で05年の浦和レッズの記録に並んでおり、鹿島戦でJ1新記録と鹿島でプレー経験を持つ鬼木達監督のJ1最速100勝がかかっている。鹿島にとっても負けられない注目の試合だ。相馬監督は「今の成績を見たら圧倒的な数字を残している相手。簡単なゲームでないことも承知している」としながらも「我々がチャレンジャーで、すべてがチャレンジャーの戦い。完遂できれば勝利の女神がほほえむと思って準備したい」とキッパリ。アントラーズの意地を見せる舞台は整った。【岩田千代巳】