青森山田が延長戦の末、米子北(鳥取)に2-1の逆転勝ちで16年ぶりに高校総体優勝を決めた。

今大会初めてリードを許した。前半10分、相手スローインからの素早いリスタートでチャンスをつくられた。ペナルティーエリア内、決死の守備でチャンスをつぶしたが、ファウルを取られPKを献上。先制点を奪われた。その後は果敢に攻め立て、決定機を何度もつくったが得点にはつながらず。0-1で前半を終えた。

後半もゴールネットをなかなか揺らせず。奪っては攻め、攻めては奪われる苦しい時間が続いた。しかし後半34分、MF小原由敬(3年)のクロスにDF丸山大和(3年)が反応。バックヘッドでゴール右に押し込み同点。苦しんだ末にようやく試合を振り出しに戻した。

10分ハーフの延長戦。拮抗(きっこう)した展開が続き迎えた延長後半アディショナルタイム。青森山田がコーナーキックのチャンス。米子北ベンチからは「ノータイム」の声が飛ぶ中、ラスト1プレーで、MF藤森颯太(3年)のコーナーキックに丸山が相手DFより頭1つ分高い打点のヘディングで決勝弾。丸山は「自分の得意なコーナーなので、何としても決めてやろうという気持ちでした」と振り返り、得意の空中戦で試合を決めた。目標とする「得点も取れるCB」を体現し、自身初の全国大会で優勝に貢献した丸山は「苦しい2年間を乗り越えてきたからこそ今があると思います」と喜んだ。

試合後、MF松木玖生(くりゅう)主将(3年)の目には涙が浮かんだ。「3年間取り組んできてもダメでダメで、それがやっと実って、うれしい気持ちが1番ですね」と待望のタイトル獲得を喜んだ。

「PKの順番を決めたら負けだな」。延長戦終了間際、黒田剛監督の脳裏には今年1月の全国選手権決勝でPK戦の末に敗れた山梨学院戦がよぎった。黒田監督は「(PK戦が)決まってから考えようと、精神的に自分自身、またスタッフたちが強くいられたことがよかった」と振り返った。米子北のしたたかなプレーに悩まされたが、最後は得意のリスタートから得点。「最後まで諦めずに、PKに何が何でも持ち込まれないぞという彼らの気迫が、最後の最後で勝ったのかなと思います」とイレブンのたくましさを実感した。

高校総体を制しまず1冠。続くプレミアリーグ、全国選手権の3冠を目指し、夏をへてさらなる成長を図っていく。【濱本神威】