常勝軍団が三度目の正直で日本一に輝く! 第100回全国高校サッカー選手権が開幕。

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2大会連続準優勝の青森山田は、31日に大社(島根)との初戦(2回戦)に臨む。今季は全国高校総体(インターハイ)、プレミアリーグEASTの「2冠」を達成。前主将でJ1浦和からJ2相模原(来季はJ3)に育成型期限付き移籍中のDF藤原優大(19)は、「ひいき目なしに大本命」「穴がない」と、18年度以来の栄冠に太鼓判を押した。【取材・構成=山田愛斗】

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藤原は青森山田の躍進を予言する。今夏の全国高校総体で16年ぶりに優勝。Jクラブ下部組織も参加した高校年代最高峰のプレミアリーグEASTも13勝1分け2敗、リーグ最多45得点、同最少9失点で制した。J1東京に主将のMF松木玖生(くりゅう)、J2町田にMF宇野禅斗が来季加入内定。その2枚看板だけでなく、DF三輪椋平、MF藤森颯太、FW名須川真光(まさき、いずれも3年)ら計11人が昨年度の全国選手権でメンバー入り。経験豊富な陣容で、3大会ぶりの王座を視界に捉える。

「今年は本当にひいき目なしに大本命だと思うし、他の高校と比べても力が抜けている。だからこそ、いつも通り、気負わずにやってほしいです」

近年の高校サッカー界で先頭を走り続けている。全国選手権では3大会連続で決勝に進出し、18年度は優勝、19、20年度は準優勝。藤原は1年時の選手権初戦から3年時の決勝まで全15試合に出場する「皆勤賞」で、直近2大会の決勝では勝利に結びつかなかったものの、いずれも先制ゴールを挙げ、勝負強さを発揮してきた。ただ、主将として臨んだ前回大会は、山梨学院に2-2からPK戦の末に敗れ、その記憶は胸に深く刻まれている。

「あのときの後悔や心残りはまだあります。言い出したら切りがないですけど、選手権で準優勝というのはキャプテンとしてすごく悔しかったですし、あんな思いを2度としないために頑張ろうと、ワンプレー、ワンプレーにこだわって特にやっています」

プロ1年目の今季は、今後のサッカー人生につながる貴重な経験を積んだ。浦和レッズではルヴァン杯2試合の出場にとどまったが、育成型期限付き移籍で7月からの半年間はJ2相模原でプレー。加入3日目でいきなり先発デビューし、主力として17試合(先発16)で真剣勝負を味わった。

「レッズでは2試合しか公式戦に出られず、90分間体力が持つかとか不安もありました。お客さんがたくさん入る公式戦と練習試合では緊張感が全然違うので、相模原ではJリーグという舞台で17試合に出場できたのは自分にとってプラスだったし、すごく充実した時間でした」

青森山田ではプロで通用するプレーを基準に練習を重ね、浦和でも1年目から定位置確保を狙った。それでも「ルヴァン杯2試合や普段の1日1日の練習をやっていくにつれて、自分に力がなく、まだまだだなと実感した」と洗礼を受けた。「J1、J2、J3とか関係なく高校生とプロは全然違う」と感じたからこそ相模原で武者修行。得意のヘディングに手応えをつかんだ一方、プロのゲームスピードの中で、苦手ではなかったビルドアップ(攻撃の組み立て)が精度を欠くなど課題も明確だった。

後輩の活躍は、頑張る原動力になった。自身と同じセンターバックの三輪、DF丸山大和(3年)ら守備陣は今季開幕前の下馬評を覆し、全国高校総体3試合、プレミアリーグ1試合で被シュート0をマーク。1年を通して堅守を誇った。

「DFは自分たちの代もそうでしたが、正直、不安の声があったと思います。上からになってしまいますけど、(三輪)椋平は味方を動かして頑張っていますし、去年はずっとBチームだった大和も、インターハイとかであんなに大活躍するとは思わなかったです。2人ともすごく成長している分、だからこそ、自分も負けてられないです」

母校は勝利を積み重ねて高校年代を席巻する。「やっぱり穴がなく、すごい強いチームだと思います。特に攻撃力という点では、去年から試合に出ているメンバーがほとんど残っているのは魅力的です」。試合結果のチェックは欠かさず、松木、三輪、FW渡辺星来(せら、3年)らと定期的に連絡を取り合い、相談相手にもなっている。

高校サッカー引退からまもなく1年がたつ。中学、高校と青森山田で過ごした日々を「甘くはないですし、すごく過酷な6年間で、トレーニングも寮生活も厳しかったですが、その中に楽しさもあって、単純に充実していたと思う」と振り返る。「卒業して寂しさも感じるので、3日ぐらいなら高校時代に戻りたいなと思うことはありますね(笑い)」。OBとして初めて迎える選手権。後輩たちに力強いエールを送る。

「(松木)玖生は1年生からですけど、他の主力も2年生で選手権を経験した選手がたくさんいます。選手権を迎えるときの気持ちは、2年生と3年生で全く違うし、緊張もすると思います。平常心でプレーできるかが一番大事になるので、勝ち急がずに本当にいつも通りのプレーを的確にやってほしいと思います」

2年分の悔し涙を笑顔に-。記念すべき100回大会で、青森山田が忘れ物を取りに行く。

◆藤原優大(ふじわら・ゆうだい)2002年(平14)6月29日生まれ、青森・弘前市出身。リベロ津軽SC、青森山田中、青森山田高を経て21年に浦和入団。同年7月から相模原に育成型期限付き移籍し、22年も同チームでプレー。中学2、3年時に全国制覇、高校1年時に選手権優勝、2、3年時に同準優勝。ルヴァン杯通算2試合無得点、J2通算17試合無得点。好きな選手はリバプールDFファンダイク。180センチ、74キロ。血液型A。

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