青森山田が夢舞台・国立で躍動した。高川学園(山口)を6-0で圧倒。3大会ぶり3度目の優勝、全国高校総体、プレミアリーグEASTとの3冠へあと1勝に迫った。試合開始早々にFW名須川真光(まさき、3年)が先制し、DF丸山大和(3年)が2得点。MF藤森颯太(3年)は3アシストをマークした。これで4大会連続の決勝進出。日本一をかけて10日に東京・国立競技場で大津(熊本)と激突する。過去2大会で準優勝と涙をのんだ雪辱を果たす。

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夢舞台で1本中の1本をアシストしたのは藤森だった。前半3分、右サイドからのFKでDFとGKの間に高精度のボールを供給し、名須川が先制のバックヘッド。同26分には左CKから再びピンポイントのボールで丸山のヘッドを呼び込んだ。後半23分には右サイドからグラウンダーのクロス。FW小湊絆(つな、2年)が試合を決定づけた。

1、2、4点目を演出した充実感と、シュート2本を決められなかった悔しさがある。「得点というのはサイドハーフが求められるところなので、しっかり点を決めたかった気持ちはあるが、今はチームの勝利が大前提。それに貢献できたのはうれしいし、次の決勝に勝たないと意味がないので、気持ちを整理しています」と次戦を見据えた。

青森・むつ市出身で青森山田中時代から主将のMF松木玖生(くりゅう、3年)らと6年間を歩み、MF宇野禅斗(3年)と副主将を務める。切れ味鋭いドリブルで相手を抜き去り、セットプレーのキッカー、ロングスローも担う攻撃の軸。前回大会はレギュラーではないが、途中出場で2アシストを記録している。

当初は青森山田に入学するつもりはなかった。「山田を倒したい気持ちの方が大きくて、地元の仲間と切磋琢磨(せっさたくま)してやっていこうと思っていた」。それでも、同中の上田大貴監督から声をかけられ「自分はプロを目指したいので、全国トップでプレーする方が夢に近づくと考えて入学しました」と「打倒山田」に燃える相手に立ちはだかる存在となった。

ハイプレスが機能した。高川学園得意のセットプレーを出させず、シュートは前半の2本に封じた。黒田剛監督(51)は「できるだけリスタートを与えず、CKを与えず、シュートを打たせず、プレミア(リーグ)で志向してきた本来の速いプレスのサッカーをしたことで、選手が吹っ切れて、いい試合ができたと思う」。前人未到の3冠はもう目の前だ。【山田愛斗】