熊本県八代市の私立、秀岳館高で、サッカー部の30代男性コーチが3年生部員に暴行して書類送検された問題で、同校による記者会見が5日、始まった。

会見は、同校の体育館で行われ、中川靜也校長、鶴浜邦一本部長、白井勇、渡部久義の両教頭、自宅謹慎中のサッカー部の段原一詞監督の5人が出席した。

会見冒頭、出席者5人が立ち上がり、軽く頭を下げた後、中川校長が謝罪。「このたびは絶対にあっててはならぬことが起きてしまい、誠に申し訳ございませんでした。断腸の思いでございます。深く深くおわび申し上げます」と述べた。

引き続き、渡部教頭が謝罪の言葉を告げた後に、5人そろって、深々と頭を下げた。

会見ではまず、白井教頭が経緯の説明からスタート。同教頭は、4月20日に暴行動画の存在を知り、精査を続けている最中、フジテレビ系で暴行事件が報じられ、その中で「暴力が日常茶飯事と伝えられていた」とし、「しっかり調査しないといけない」と考えたという。

翌21日には熊本県警からの調べが入り、生徒らから事情を聴いた後、加害したとされるコーチも事情聴取を受けていた。

さらに翌22日には、選手11人がサッカー部公式ツイッターに経緯説明の動画を投稿して、謝罪。白井教頭は「この釈明動画にはたいそうびっくりしました」と言い、削除にいたるまでの話し合いにも言及。後手、後手に回った対応のまずさに「すべて私と、渡部の責任でございます」と、あらためて謝罪した。

4月20日の部員による暴力動画拡散から2週間。前日4日には、保護者への説明会が行われ、聞き取り調査で恒常的な暴力事案が判明。学校側が謝罪していた。

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◆暴行事件の経緯◆

▼4月20日 第三者からの連絡を受け、学校側は、サッカー部の寮内で部員が30代男性コーチから殴る、蹴るの暴行を受けている動画が拡散している事実を確認。

▼同21日 熊本県警が午前中に学校を訪れて、3人が事情聴取を受けた。

▼同22日 選手11人がサッカー部公式ツイッターに経緯説明の動画を投稿して、謝罪を行った。学校関係者の姿はない動画だった。

▼同23日 謝罪動画は再生回数100万回を超えたが、削除された。23、24日のリーグ戦6試合が延期になる。

▼同25日 学校は、学年ごとの集会を開いて、合計3時間にわたって、生徒約1000人に事情を説明。段原監督はテレビ生出演で一連の騒動を謝罪。一方で、暴力動画を拡散させたとされる部員2人を加害者扱いして、強い口調で責める、同監督の音声がツイッターに投稿される。

▼同26日 学校が、ツイッターの音声について、同監督の不適切発言だったことを認めて、謝罪。また暴行をした当該コーチが、すでに退職願を提出していたことが判明。ただ学校側は警察が捜査中であるために、その扱いを保留している。段原監督も当面の自宅謹慎処分となる

▼同27日 熊本県協会と日本協会が学校側にヒアリングを行う。また、部員も入学予定の中学3年生に暴力を振るい4月18日まで、警察の調査を受けていたことが判明。サッカー部と同校公式サイトが閲覧停止になる。

▼同28日 5月8日までの3週連続で、同校出場予定の週末のリーグ戦が延期されることが判明した。

▼5月2日 日本協会の幹部である須原清貴専務理事が、県協会の2人とともに、学校側に事情を聴く。

▼同4日 保護者への説明会が行われ、段原監督が謝罪。

▼同5日 暴力騒動から2週間後、記者会見を開いた。