JFLの鈴鹿ポイントゲッターズ(三重代表)が、関西1部リーグのハリマ(兵庫県代表)に快勝し、2回戦にコマを進めた。

前半はミスも目立った鈴鹿だが、後半は主導権を握って3連続ゴール。6月1日にニッパツで行われる2回戦(横浜)進出を決めた。

FWカズ(三浦知良、55)は前週のJFLホンダFC戦で右太ももに張りを感じた影響でベンチ外。「動くことはできるけれど、強い負荷をかけた練習はしていない。やってみないと、分からない」。無理をして長引くことを心配し「今は何とも言えない」と慎重だ。

横浜戦に向けて「できることなら、出たい」と本音も漏らした。出場すれば19年8月以来の天皇杯。3年前もニッパツでの横浜戦だった。組み合わせが決定直後から「J1とやりたい」とターゲットにしていた2回戦。昨年まで所属していた横浜FCのホームだけに、出場への思いは強い。

チームメートのゲキにも応えたい。前日の練習最後の円陣で、橋本主将が「カズさんを三ツ沢に連れて行こう」と声をかけた。「みんなにありがとうと言いたい」とカズは仲間に感謝した。

102回目の歴史を誇る天皇杯は、カズにとっても特別だ。「毎年プログラムの最後に出ている記録を見る。自分の名前が出ているのが、誇らしい」という。巻末の全記録には、決勝戦メンバーが並ぶからだ。

今年度の決勝は例年より早く10月16日だが、以前は元日が恒例。「正月にサッカーをやっていられるのは決勝に残った2チームだけ。世の中は大晦日だけど、僕らはいつも通りに準備をする。そこに優越感も感じた」。懐かしそうに話した。

決勝には3度出場したが、優勝は5川崎時代の96年1回だけ。他の2回は横浜に連敗。移籍しても、天皇杯では横浜に勝てなかった。横浜FCでも18、19年と連敗。「天皇杯では1回も勝っていない」。6月1日の対戦を前に闘志を燃やした。

90年から出場している天皇杯だが、今回は初めて予選を戦った。「(県選手権として)表彰式があるのは知らなかった。県を代表するのは、重いもの。三重県代表としての誇りをもって、挑戦したい」と言った。

読売クラブで初めて出場した90年は国士舘大にPK戦負け。横浜FC時代の06年も、自身は欠場したがハリマ(当時はバンディオンセ神戸)に敗れるなど「何が起こるか分からない」。だからこそ、Jクラブとの対戦を楽しみにする。「実力では相手の方が数段上。でも、遊びに行くわけじゃない。サプライズを起こしたい」。カズは古巣ニッパツでの横浜戦を楽しみに話した。【荻島弘一】