天皇杯初陣を逆転発進だ! 2回戦から登場したJ2ベガルタ仙台がホームでJFLホンダFCに2-1で競り勝ち、3回戦に駒を進めた。0-1で迎えた前半32分、FW中山仁斗(30)が頭で同点ゴール。さらに前半37分、MF加藤千尋(23)が右足で決勝の一撃を放った。立ち上がりは劣勢な展開を強いられたが、苦しみながら逆転勝ちを収めた。次節は22日、J1で5位のセレッソ大阪と対決する。

チームの窮地を救った。加藤はカクテル光線に照らされたユアスタのピッチ上で、力を込め小さくガッツポーズをつくった。「難しい試合で結果を出せたことは自信にもなった。リーグ戦でも結果を残せるように、つなげていきたいと思います」。待望の今季初得点は決勝ゴールになった。

1-1の同点で迎えた前半37分だった。ドリブルでゴール前へ駆け上がると、ペナルティーエリア後方で最後は右足を振り抜いた。相手GKの左手をかすめる強烈なシュートがゴールネットに突き刺さった。「カウンター気味にボールを受けて『自分で打とう』と判断しました。得点を狙いにいく意識よりも、守備から入っていこうと思って臨みました」と振り返った。

復帰後初のスタメン起用に一発回答を示した。左足のケガで戦線を離れていた中山が、3月26日FC町田ゼルビア戦以来の先発出場。0-1の前半32分、FW富樫敬真(28)からの左クロスに飛び込み、頭で同点弾を決めた。「先制されて苦しい展開でしたが、自分のゴールで同点に追いついて、チームが勝ち切れて良かった」。立ち上がりは相手に押し込まれる劣勢な展開が続いていただけに、反撃の糸口のきっかけとなる気迫のヘディングシュートだった。

次戦は22日、J1を舞台にするC大阪と対戦する。原崎政人監督(47)は「負けたら終わりなので、次につながったことが収穫です。リーグ戦と少し(先発)メンバーを入れ替えても、ほぼ狙い通りに戦ってくれた印象。誰が出ても(結果は)同じだということを示してくれた」と語った。チーム一丸でJ1クラブを撃破し、リーグ戦に大きな弾みをつける。【佐藤究】