J1京都サンガFCの曹貴裁監督(チョウ・キジェ、53)が、生まれ育った京都への思いを語った。

13日のJ1参入プレーオフ(PO)決定戦・J2ロアッソ熊本戦(サンガS)に向け、10日は京都・城陽市内で練習を公開。実戦練習では自らボールを蹴り「オレを信じて走れ!」とゲキを飛ばし続けた。

DF本多勇喜がサイドに広がってタテに走りながらボールを受けようとすると、同監督は「本多! オレはそこまでボールが蹴れない!」と叫ぶ“オチ”も。

練習後は選手全員の居残り練習を見守り、最後までグラウンドに立ち続けた。

京都市に生まれ、地元の洛北高から早稲田大へ進んだ。この日も「この京都の街で育った18年間が、オレのベースにはあります」としみじみと語る。

故郷のクラブを昨季から率いてから、続けていることがある。本拠地での試合前、必ずサポーター席へあいさつへ向かうことだった。

「湘南(の監督)を辞めて、ここに来て最初のプレシーズンマッチでした。サンガスタジアムであったガイナーレ(鳥取)との試合。湘南時代は反省と後悔しかない中で、京都のサポーターの方が一緒に戦ってくれるか、不安があったんです。そんな中で(集まった)5000人くらいの人たちが拍手で迎え入れてくれた。感謝でしかなかった。人として、あの思いは忘れちゃいけない、と。それから試合が始まる前にはあいさつをしています」

湘南を率いた19年にパワハラ行為が認定され、監督を退いた苦い経験がある。1年間のライセンス停止処分後、昨季から故郷京都を率い、1年でJ1に昇格させた。次の任務はJ1残留となる。

「監督としてPOは初めて。ここでジタバタして(選手に)処方箋を出して送り出すよりも、今まで自分たちがやってきたことを信じてやり続けるだけです」

故郷への恩返しを胸に、今季最後の戦いに臨む。