新潟はアウェーで広島に2-1で競り勝ち、開幕2戦目でJ1復帰後初勝利を挙げた。前半14分、右MFに入った太田修介(27)が左足を振り抜いて先制点を奪うと、同37分にはFW鈴木孝司(33)の追加点をアシストした。後半は防戦一方となり、同39分にFKのこぼれ球から1点を返されたが、GK小島亨介(26)を中心に体を投げ出して守り、逃げ切った。開幕アウェー2連戦を1勝1分けと好発進。ホーム開幕戦となる次節3月4日は札幌と対戦する。

    ◇    ◇    ◇

目の覚めるような一撃がゴールネットを揺らした。太田は前半14分、左から中央に切り込んだMF三戸舜介(20)のドリブルがこぼれたところに素早く反応すると、ペナルティーエリア中央から左足を強振し、先制点を奪った。「初っぱなだったからコースは狙わずにスピードを意識した」。続く同37分には右サイドを抜け出し鈴木の追加点をお膳立て。「シュートを打とうと思ったけど、直前で判断を変えた。いい選択ができた」と今季初勝利につながった1得点1アシストを素直に喜んだ。

J1デビューで27歳のサイドアタッカーが、さっそく実力を示した。J2町田から今季、完全移籍で新加入。開幕前の高知キャンプでは持ち味のスピードを猛アピールした。だが18日の開幕、C大阪戦は直前に体調を崩し、ベンチ外となっていた。「タイミングが悪かったが、自分次第で幸運に変えられると思った」。試合に向けてモチベーションを高く保ち、先発に抜てきされると、相手3バックの背後にできたスペースに何度も走り込み、攻撃をけん引した。

試合の2日前には松橋力蔵監督(54)から「自分が何者なのかを示せ」と声をかけられ、自らを奮い立たせた。「自分の特長を再確認した。結果を出せて良かった」と太田。松橋監督も「すばらしいパフォーマンスを見せてくれた。本人の自信につながると思う」と高評価した。

プロ6年目でたどり着いたJ1の舞台。「実は…、かなり緊張してました」と包み隠さずに笑ったが、夫人の「今まで積み上げてきたからようやく立てるピッチ。楽しみなよ」の言葉に肩の力が抜けた。昨季リーグ戦3位の強豪広島を相手に「特長のスプリントは通用した。課題が出たことも収穫。シーズン通して成長したい」と確かな手応えをつかんだ。

ホーム開幕戦となる次節(3月4日)は札幌と対戦する。2試合連続ゴールを狙うスピードスターは「もっとワクワクさせるようなプレーを見せ、勝利に貢献したい」と意気込んだ。【小林忠】

○…前半、「らしさ全開」の攻撃スタイルで2点を先制したが、後半は一変して守備の時間が増え、FKのこぼれ球から失点した。それでもGK小島、古巣対戦となったDF千葉を中心にはね返し、勝ちきった。松橋監督は「全部が全部思い通りにはならない。1失点はしたが、『我々を崩すことはそう簡単ではないぞ』と示すことができた」と話した。

○…新加入のブラジル人FWグスタボ・ネスカウが後半27分から途中出場し、Jデビューを果たした。攻勢を強めた相手に対して前線からの守備でボールの出所をつぶし、自陣から送られるロングパスには体を張った空中戦やボールキープを見せ、勝利への執念をピッチで表現した。