藤枝MYFCが、鮮やかな再逆転劇で今季初の3連勝を飾った。ホームでJ1経験がある仙台を3-2で撃破。1度は逆転を許した後半にMF久保藤次郎(24)の右足ミドルで同点とすると、ロスタイムに途中出場のFW矢村健(25)が右足で決勝点を奪った。リーグ最多得点を誇る超攻撃的サッカーを体現し、順位は今季初めてJ1昇格プレーオフ圏内の6位に浮上した。磐田は2-1で金沢を下した。

至高のエンターテインメントだった。藤枝は1点リードで迎えた後半20分に逆転を許した。残り25分間で1-2。敗戦ムードも漂った窮地から「藤枝劇場」は始まった。同41分、右サイドでボールを受けた久保は迷いなく右足を振った。「最初のトラップで決めていた」。自信を持って放った強烈なミドルで逆サイドネットを射抜き、2-2。同点で終わらないのが超攻撃的スタイルを掲げるチームの真骨頂だった。

ロスタイム。ロングキックのこぼれ球に矢村が反応した。胸トラップでコントロールすると、角度のない位置から右足一閃(いっせん)。「あのコースしかなかった」と振り返ったヒーローの今季3点目で再逆転した。選手だけでなく、コーチ陣もベンチから飛び出し、歓喜の抱擁。須藤大輔監督(45)も渾身(こんしん)のガッツポーズを披露し、「3点取られても4点取るクラブのフィロソフィー(哲学)を選手と共有できた」と誇示した。

指揮官の理想は、選手自身がプレーを楽しみ、見る人も魅了する「エンターテインメントサッカー」。リスクも覚悟の上で攻撃的な姿勢を貫いてきた。11試合で21得点はリーグ最多。3得点以上を奪って勝利した試合は計5試合と、クラブ史上初のJ2でもスタイルはぶれていない。

順位も当初目標に掲げていたプレーオフ圏内の6位に浮上した。須藤監督はクラブの思いを代弁した。「これからは常にこの順位をキープして上を目指していく。次、次という意識で違う景色を見にいきたい」。目指すのはさらなる高み。まだまだ、満足はしていない。【神谷亮磨】

○…エースが決めれば勝率100%の「全勝神話」は継続した。前半45分、FW渡辺りょう(26)は相手DFのクリアミスを右足ダイレクトで合わせた。約20メートルのミドルで先制点。自身初となる3戦連発で、得点ランク単独トップの今季9点目を挙げた。昨夏の加入以降、得点した試合は9戦全勝。この日は久保の同点弾もアシストし、今季3度目となる矢村との「アベック弾」で勝ち点3を獲得した。試合後は「逆転で勝てたことは自信につながる。次も勝つために取りたい」と、2桁得点を見据えた。