青森山田高で苦楽を共にした東京ヴェルディMFバスケス・バイロン(22)と町田ゼルビア黒田剛監督(52)の「師弟対決」は、予期せぬ形で終わった。

東京Vが1点を追う後半18分。バスケスが判定を巡って、上を向いて何らかの言葉を叫んだところ、主審のジャッジへの異議とみなされ、2枚目のイエローカードが出された。退場となったバスケスはぼうぜんとしながらピッチを後にした。

10人となった東京Vはその後もボールをつないで相手ゴールに迫ったが、決定力を欠き、0-1で悔しい敗戦を喫した。

右ウイングのバスケスは前半から得意のドリブルで仕掛け、何度も好機を演出。退場になる直前にも際どいシュートを放っていただけに、惜しまれる退場だった。

試合後、バスケスについて聞かれた町田の黒田監督は柔和な表情を浮かべてコメントした。

「高校3年間、彼を指導してきた中で、すごく思い入れもあるし、彼のドリブルとか、守備力も含めて相当厳しく指導してきたので。彼がこういうステージでチームの中心として活躍しているところを見ると、すごくほほ笑ましいし、うれしい気持ちがある」

そう語った上で、現在の立場を踏まえた思いを吐露した。

「退場は(個人的には)残念な反面、我々のチームとしてはすごくありがたかったんですけど、バイロンのことを考えると、もっとプレーしたかったんじゃないかなと、私は複雑な心境でピッチに立ってました。でもここ数試合、バイロンのプレーを見てますけど、本当によく成長して、チームの中心として頑張ってくれている。うれしい限りです」

なお関係者によると、ピッチを去ったバスケスはチームに迷惑をかけてしまったことを悔やんでいたもよう。自分がいなくなってからも戦い続けた仲間や、応援し続けてくれたサポーターの姿に感銘を受け、チームを勝たせられる選手になれるよう、さらなる成長を誓っていたという。