ベガルタ仙台が「鬼門」の味スタを攻略し、直近5戦無敗(4勝1分け)で7位に浮上した。

2位東京ヴェルディに2-0で快勝し2連勝。元日本代表でJ1東京に昨季まで所属したGK林彰洋(36)が、大けがを乗り越え、2年7カ月ぶりにかつてのホームでプレーした。好セーブ連発で今季6試合目の完封。仙台がJリーグ公式戦で3勝3分け16敗と相性の悪いスタジアムで勝ち点3をもたらした。

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仙台の守護神として林が味スタに帰還した。同地がホームの東京に17年から22年まで6季在籍。思い入れのある場所で白星をつかみ、ゴール裏のサポーターからは盛大な林コールで迎えられた。笑顔で手を振り、喜びを共有。「本当に自分のやっていた場所に帰ってきたなという感覚があった」。好セーブ連発で完封勝ちの立役者になった。

「いろんなチームと戦っていく中で、クリーンシート(無失点)できたなという試合でできなかったり、今日の試合でできたんだとか差はあるんですけど、結果としてゼロにできたのは良かった」

神セーブでチームを救った。1-0の前半21分、相手のミドルシュートが味方DFに当たり、コースが変わる。体勢を崩され、逆を突かれる形となるも、左手1本でストップ。「変則的な変化が起こったボールに、よく左手が残ってくれた」。2-0の後半ロスタイムにはヘディングをパンチングでクリア。その直後に試合終了の笛が鳴った。

東京時代の21、22年は右膝前十字靱帯(じんたい)損傷と外側半月板損傷の大けがで公式戦出場がなかった。味スタでプレーするのは20年10月24日の横浜戦以来、2年7カ月ぶり。かつてはホーム側のロッカーや室内アップ場を利用。アウェーで動線がすべて逆となり、「めちゃくちゃ違和感があった」と笑った。

林は主将のDF小出悠太(28)不在に伴い、仙台加入後初のキャプテンマークを巻いた。「みんなが思い切って、勇気を持ってプレーすることが大事」と考え、「僕らが目指すサッカーをしっかり出そう」と仲間を鼓舞。ゲーム中はもちろん、試合後も積極的な声がけでチームを引き締めた。

直近5戦無敗で自動昇格圏の2位とは勝ち点4差だ。「調子が悪くても勝ち点3を苦しみながら取っていけるようにやっていきたい」。仙台の最後方には頼れる男がいる。【山田愛斗】

 

〇…仙台がリーグ最少失点の東京Vから複数得点で勝利を飾った。0-0の前半17分、FW中島元彦(24)が自ら獲得したPKをゴール中央上に豪快に蹴り込み先制。後半22分にはMF郷家友太(23)のヘディングを相手GKがはじき、最後はDF菅田真啓(25)が右足で押し込んだ。2試合連続弾で今季5ゴール目を挙げた中島は「少ないチャンスを決めきり、勝利に持ってこられて良かった」と力を込めた。無失点に貢献した菅田は「そこまでやられる場面はなかった。うまく守れた」と手応えを口にした。