高知県勢初となるJリーグ(J3)昇格を目指す日本フットボールリーグ(JFL)の高知ユナイテッドSCが、3カテゴリー上の相手に大番狂わせを演じた。J1屈指のタレントを擁するガンバ大阪に、前半だけで2点を奪い、最後は1点差で逃げ切った。

まずは前半4分、自陣右サイドで相手のパスをカットするとカウンターを発動。最後はFW小林心(こころ、22)が右足で技ありの先制ゴールを挙げた。わずか10秒の速攻だった。

流通経大から新加入の小林心は、直近4日のJFLヴィアティン三重戦で初ゴールを決めたばかり。この日は1トップで先発し、前線から守備でも貢献した。

続く前半41分、自陣でDF小林大智(24)のインターセプトから、最後はFW東家(とうや)聡樹(26)の左クロスがG大阪のオウンゴールを誘い、追加点となった。

G大阪は先発こそ半数ほど控え選手だったが、2点を追う後半はFWジェバリら主力を続々投入。高知は相手を本気にさせた上で後半の1失点で我慢し、1点差で逃げ切った。

高知が天皇杯でJ1クラブと対戦するのは、21年度の徳島ヴォルティス(現J2)、22年度の京都サンガに続いて3度目。京都には延長戦の末に逆転負けしたが、あと1歩まで追い詰めていた。3度目の挑戦で初めてJ1を撃破した。

8大会連続の出場となる高知は、高知県初のJリーグ入りを目指して16年に誕生したクラブで、JFLは今季が4年目。最短で来季のJ3昇格が可能で、現在のリーグ戦は3勝3分け3敗で全15チーム中10位にいる。

現役時代、横浜FCなどJリーグでプレーした就任2年目の吉本岳史監督(45)は「歴史に新たな1ページを刻めた。厳しい練習を積み重ねてきたから」。アマチュア主体のチームでプロ契約は5人のみ。リーグ戦の勝利給は1万円にも満たない。先制点を挙げたFW小林心はホームセンター勤務。「本当に勝った…まだ、実感はない」と話していた。

 

◆高知ユナイテッドSC 16年2月に高知県初のJリーグ昇格を目指して誕生したクラブ。高知市を中心に同県がホームタウン。四国リーグ優勝を経て、20年からJFLへ昇格。14、13、11位と着実に成績を伸ばし、昨年にJ3ライセンスを取得した。21年12月にはカズ(三浦知良)獲得に動いた経緯もある。選手はアマチュアとプロの混在で、元Jリーグ広島のMF横竹翔(33)らが在籍。