今夏に日本復帰して、アルビレックス新潟レディースに加入した元なでしこジャパンMF川澄奈穂美(38)が、チームの決勝進出に大きく貢献した。

キャプテンマークを巻いた背番号19は、開始直後から右サイドで攻守に果敢な動きを見せた。前線からのプレスでのボール奪取を狙うチームの中で、何度もスプリントを繰り返し、終盤までその勢いをキープ。「走りきるのは自分の仕事。コントロールするのではなく、いけるところまでやるというつもりだった」。38歳という年齢を感じさせないハードワークと、味方を鼓舞する声でチームをけん引した。

前半18分には、味方が奪ったボールを右サイドで受けると、ボールを進めながら中央を確認。「持った時に相手が来なくて、いいのかな、いいのかな、じゃあ上げるよ」と狙いすまして、ニアに走り込んだFW道上彩花(29)の頭に合わせ、先制弾をお膳立てした。

今季新潟に加わったばかりではあるが、そう感じさせない存在感がある。NJ/NYゴッサムFC(米国)で3季プレーした後のWEリーグ参戦となった川澄は「アメリカでやった期間が長くて、まずは日本のサッカーに慣れること」と話しながらも、米国経験で培ったものを還元し、落とし込むことを考えている。

米国との違いは「中盤で前を向く意識。とにかく前にボールをつけること、ゴールへの意識」と話す。それを体現しながら、仲間に要求するようにしているという。本人いわく「日本語をしゃべれる外国人選手みたいな感じ」。

さっそくチームを決勝に導いた“助っ人”は、自チームやWEリーグの人気向上にも強い意欲を持つ。さまざまな施策の効果検証を希望すると同時に「ホーム戦で(観客が)すごく入ってくれているのは、プレーを見た人がまた来ようと思ってくれているから」と、まずはピッチでの活躍が欠かせないと考えている。

そのためにも、14日に等々力陸上競技場で行われるサンフレッチェ広島レジーナとのファイナルは絶好の機会。新主将は「すごく大きいものになる。そこにかけていきたい」と強く意気込んだ。【永田淳】