全国屈指の高校サッカーの強豪、熊本県立大津高で、サッカー部員が全裸で土下座をさせられ、その様子を撮影されるいじめを受けていたことが発覚した。3日、熊本県教育委員会が明らかにした。

県教委によると、昨年1月、当時1年生だったサッカー部の男子生徒(現3年)1人が、全国高校選手権の応援先の宿舎で、他生徒の部屋に呼び出され、先輩にあだ名をつけたと疑われ、謝罪することを強要された。その際、服を脱ぐように言われ、全裸で土下座させられ、その様子が写真で撮影されたという。この大会は準優勝しており、その裏で起こった事態だった。

被害生徒は、現在もサッカー部に所属しているが、練習には参加していない。

今年9月、被害生徒の保護者から県教委に相談があり、いじめがあったと認知された。県教委によると、生徒は今年7月、担任に「先輩にあだ名を付けたと疑われ、謝罪を強要された。全裸で土下座し、写真に撮られた」などと訴え、高校が聞き取りを進めていた。

県教委は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定。第三者委員会を設置し、詳しく調べる。

この日夕、保護者説明会が行われ、今日4日には生徒集会での場、事案が説明される予定だ。

取材に応じた西野俊一郎副校長は「重大事態を起こし、たいへん重く受けとめています。当該生徒や家族に苦しい思い、苦痛を与え、申し訳ありませんでした。深くおわびしたいと思います」と謝罪した。現時点で「部活動休止や大会辞退は考えていない」とした。

サッカー部は、今年1月の22年度全国高校選手権でも4強入り。高校年代最高峰の高円宮U-18プレミアリーグ西地区に所属する名門だ。元日本代表FW巻誠一郎、日本代表でカタール1部アルラヤンDF谷口彰悟や、鹿島DF植田直通や、鳥栖MF河原創、京都FW豊川雄太ら大勢のJリーガーを輩出している。地元のサッカー活動はユース、社会人、シニアのチームまで幅広く、人口約3万5000人の「生涯サッカーの町」に激震が走った。【菊川光一】

 

◆大津 大津中として、1923年(大12)開校。男女共学の公立校で普通科、理数科。生徒数は706人(女子266人)。男子サッカー部は72年創部、部員約230人。全国高校選手権は87年度初出場。帝京主将で83年度選手権を制した平岡和徳氏(現総監督)が93年に監督に就き力をつけ、97年度に初8強。21年度準優勝、22年度4強。所在地は熊本県菊池郡大津町大津1340。高野寛美校長。