現役時代は“ミスターセレッソ”と呼ばれたC大阪の森島寛晃社長(51)がこのほど、日刊スポーツのインタビューに応じ、今季12年半ぶりに復帰したMF香川真司(34)や、12月で設立30周年を迎えるクラブのこと、目指す将来像などを語った。今季リーグ戦は現在6位につけ、残り3試合で3位以内を目指す。

   ◇   ◇   ◇

-今季12年半ぶりに復帰した香川選手について

森島社長 清武弘嗣(主将)がシーズン前、ここ何年かで一番調子いいプレーをしていた。めちゃめちゃ楽しみだったのが、開幕前にけがをした。開幕後はチームのリズムが全然できなかったのを考えると、香川真司がチームを落ち着かせて安定させてくれた。いいタイミングでチームに戻ってきてくれたと思う。

-香川選手はここまで、唯一リーグ戦全試合に出場している

森島社長 若い選手が増えている中、経験のある選手がだんだん少なくなってきた。その意味で香川は精神的支柱じゃないが、さすがだなと思う。それで周りの選手も安定してプレーできている。

-21年8月に就任した小菊監督の下、新たな選手も伸びてきた

森島社長 毎熊晟矢も1つ前の(攻撃的MFやFWの)位置から、積極的にサイドバックに転向させ、試合を重ねるごとによくなった。日本代表に入るなど、選手の能力をうまく引き出せている。小菊監督に関しては(コーチ時代を通して)歴代監督を見て、聞いて、クラブのいいところ、悪いところもずっと見てきているので、いいところをチョイスしながら、自分の色を出している。

-12月にクラブ設立30周年を迎える。改めてC大阪の長所は

森島社長 強みはクラブ全体がファミリーであり、アットホームで誰もがとけ込みやすいところ。サポーターと選手の距離感も非常に近い。それが一番の特長であり、時には「仲良し軍団で生ぬるい」と言われるが、それもよさかもしれない(笑い)。それぐらいの方が、気を使わず意思疎通が図れます。

-目指すクラブ像は

森島社長 チームがタイトルを取るために、選手がのびのびできる環境が大事だと思う。現場から要望があればしっかり耳を傾けている。できないものはできないが、意思疎通は現場とクラブ内でとれている。アカデミー(下部組織)から上がっていく選手もそうだが、C大阪に来れば、みんな活躍できると思われるクラブになっていきたい。

◇ ◇ ◇

この日のインタビューでは、C大阪の医療体制についての話題が出た。クラブは21年10月、再生医療関連事業を展開するセルソース社とメディカルパートナー契約を結び、選手がけがをした場合の治療の選択肢などが増えた。

この日、同じく取材に応じた副主将のMF鈴木徳真(26)は、その実体験を披露した。

昨年10月22日、国立で開催されたルヴァン杯決勝に、背番号17は当然のように先発でピッチに立った。だが、10日前の東京とのリーグ戦で右膝外側側副靱帯(じんたい)を損傷。本来なら全治数カ月の大けがだったという。

そこで鈴木が選択した治療が再生医療の1つで、けがの回復を促進する「PFC-FD(TM)療法」。患者の血液から作成したPRP(多血小板血漿=けっしょう)を本人の患部に注射するもので、その中でもセルソース社の「PFC-FD(TM)」を使用。成長因子を濃縮し成分を高め、凍結乾燥させたものだった。

「驚きました。膝の靱帯ってそんなに早く治るの? っていう」と鈴木。今年2月にも負傷した右足首に使用し、開幕に間に合わせた。医療の進歩を改めて実感しているという。

森島社長は「再生医療は選手、クラブにとって、治療の選択肢が生まれて心強い。自分の時代にも(今の医療体制が)あればと思う」と話した。

(注:PFC-FDはセルソース社の保有する商標)

◆森島寛晃(もりしま・ひろあき)1972年(昭47)4月30日、広島市生まれ。静岡・東海大一高(現東海大翔洋高)から91年にC大阪の前身ヤンマー入り。08年に引退するまでC大阪一筋でプレーし、J1通算318試合94得点。丁寧な対応から現役時代は「日本一腰の低いJリーガー」と呼ばれた。日本代表としてW杯は98年フランス、02年日韓大会に出場するなど国際Aマッチ通算64試合12得点。18年12月にC大阪社長に就任。168センチ。