ガンバ大阪が来季、強化の最高責任者に前監督の松田浩氏(63)を招聘(しょうへい)することが18日、分かった。

同氏は下部組織(アカデミー)を含め、クラブの強化部門全体を統括する最高責任者となる。一両日中に正式発表される。

93年元年からJリーグに参入し、計9タイトルを獲得してきたG大阪が、前監督の松田氏とはいえ、クラブ出身者以外を最重要のポストに置くのは極めて異例の人事。

来季2年目を迎えるスペイン人、ダニエル・ポヤトス監督(45)を前監督が支える特殊な構図で、今季16位に終わるなど3年連続で残留争いに巻き込まれ、不振を極めるG大阪にとっては、大きな転換期を迎えたといえる。

これまで強化の最高責任者だった和田昌裕取締役(58)が今季限りで退任し、J3ツエーゲン金沢のゼネラルマネジャー(GM)になることが決まっており、クラブ側は10月から後任人事に着手してきた。

主にJリーグ広島で育った松田氏は、昨年8月にG大阪にコーチとして途中入閣。就任直後、J2自動降格圏の17位で片野坂当時監督が事実上の解任となり、松田氏が後任に緊急指名された。2度目のJ2降格が迫る中、残り10試合を4勝3分け3敗で粘り抜き、最終節で残留に導いた功労者だ。

昨年12月、G大阪はクラブ幹部として松田氏に残留を要請したが交渉はまとまらず、今季J3宮崎の監督に就任し、成績不振で9月に途中退任していた。

松田氏はJ1の神戸やG大阪、J2では栃木や長崎などのべ7クラブで監督を務め、リーグ戦計534試合の指揮を執り、強化担当の経験もある。Jリーグでの総合的な見識は、トップクラスの人材といえる。

松田氏の下には、強化部長として梶居勝志氏(60)が18年8月以来の復帰となり、今年8月までJ3鹿児島のゼネラルマネジャー(GM)だった登尾(のぼりお)顕徳氏(39)らが強化スタッフで新加入する見込み。また、下部組織の責任者(アカデミーダイレクター)だった松波正信氏(49)は今季限りで退任する。

 

◆松田浩(まつだ・ひろし)1960年(昭35)9月2日、長崎市生まれ。長崎北、筑波大を経てマツダ(Jリーグ広島の前身)に入り、広島、神戸でFWやDFとしてJ1通算44試合3得点と活躍。引退後はJ1では神戸、福岡、G大阪で監督を務め、通算38勝29分け43敗。J2、J3を合わせればリーグ戦534試合の指揮を執った。特に守備戦術や組織の構築は日本人屈指で、英語やポルトガル語などにも堪能。