早稲田大(関東2位)が福岡大(九州)を4-0で下し、初優勝を飾った。新人戦は1、2年生が対象の大会。トップチームは関東2部リーグで5位に終わり1部復帰を果たせなかった中、後輩たちが「日本一」の称号を手にした。

就任1年目、OBで元Jリーガーの兵藤慎剛監督率いるチームが、2023年最後の公式戦で目指す攻撃サッカーを展開した。前半19分に右サイドから攻め込み、最後はMF西凜誓(1年=名古屋U-18)が右足で先制点を決めた。さらに3分後、右サイドバックの佐々木奈琉(2年=帝京長岡)の折り返しをMF本保奏希(2年=JFAアカデミー)が右足で蹴り込み、2-0とした。

後半も攻撃の手を緩めることなく、29分に抜け出したMF森田大智(2年=大津)が飛び出してきたGKをひらりと右へかわし、角度のない位置から正確にシュートを決めて3-0。

37分には左サイドからDF佐橋杜真(2年=名古屋U-18)が正確なアーリークロスを通すと、FW鈴木大翔(1年=G大阪ユース)が落ち着いて右足で駄目押しの4点目を奪った。

福岡大はFW合戸晴矢(1年=福岡大付属若葉)がスピードに乗った縦抜けからシュートに持ち込むなど、随所に得点機はあったが、DF増田健昇(2年=横浜FCユース)、GK海本慶太朗(1年=大宮U-18)らが固めるゴール前を崩すことはできず。シュート数は9-9と同じだっただけに、決定力の差がそのままスコアとなって表れた。

兵藤監督は「今大会5試合の中で一番いい試合だった。成長している証を自分たちで残した」とたたえた。その一方で「ただインカレ(全日本選手権)に行っている筑波、明治は本当の1、2年生はそっち側で試合に出ている。まだまだこの優勝で満足してもらっては困る」とあえて厳しい言葉も口にした。

兵藤監督自身、早大4年でインカレを制し、MVPにも輝いている。伝統のア式蹴球部の看板を背負う思いは誰よりも強い。選手たちに向け、激(げき)を飛ばした。

「早稲田は歴史上、日本一を取ることが日常だった。むしろ日本一が取れないことが良くないことだよね、っていうのが我々のあるべき姿。1、2年生にはこれを自信にしてもらいたいが、それが過信にならないよう、厳しくやっていかないといけない。今日、見ていた3年生、試合に出られなかった1年生も含め、日本一を目指して競争していく環境をつくりたい」と意気込みを語った。

そしてゲーム主将を務めた増田は「この5試合を通して体を張るとか粘り強く戦えるようになった。自分もセンターバックとして声をかけるなど、そこは意識して戦いました」と狙い通りの完封勝ちに安堵(あんど)した表情を見せた。

その上で「兵藤さんのサッカーは攻撃的なスタイル。これからの早稲田はこうやって勝っていくのかなと思いました。今日も前半で2点取りましたが、その2点で満足するのは誰一人いなかった。自分ら(DFライン)も引かずに前へ出た。自分がトップで出てもそうやって戦っていきたい」。この1つのタイトルをステップに、強い早稲田の復活を目指していく。