昨季ルヴァン杯王者のJ1アビスパ福岡は、スコアレスドローで、01年以来23年ぶりのJ1開幕戦勝利はならなかった。

得点力不足は課題のままだが、長谷部茂利監督(52)が「超攻撃的」と表現した相手の怒濤(どとう)の攻撃は、ベースの堅守で0封した。初戦を終え、長谷部監督は「ホームでの開幕戦。勝ち点3を取りたかった」と悔しさものぞかせた。

今季も生命線の堅守は健在だ。華麗なパスワークを誇る相手に何度もはがされた。だが、全員、守備の意識が高く、5バックを軸にスペースを与えない。ボールを奪ってからも、速い切り替えの全員攻撃で敵ゴールに襲いかかった。

この日は、コンディション不良で昨季躍進を支えたDFドウグラス・グローリ(34)、DF宮大樹(27)や、1トップが期待された新加入の元スイス代表FWナッシム・ベンカリファ(32)がベンチ外。それでも、チャンスを得た控え選手が躍動した。

オフには、運動量豊富で守備範囲が広かった元日本代表MF井手口陽介、2年連続10得点のエースFW山岸祐也、ブラジル人FWルキアンら複数の主力が移籍。特に2人でJ1の37得点中15点を奪った山岸、ルキアンの流出を補わなければいけなくなった。

それでも、得点こそならなかったが、新たな攻撃スタイルは見えた。

2シャドーの新加入FW岩崎悠人(25)はサガン鳥栖時代サイドアタッカーだったが「1試合平均のシュート回数が増えた」と新ポジションで躍動。前半24分には、相棒のMF紺野和也(26)のパスをペナルティーエリア中央から打ち、惜しくもゴール右に外れる場面など、新天地で暴れた。

1トップを加えた善戦3枚のコンビネーションアップはこれからだ。

ボランチのMF重見柾斗(22)が「勝てるゲームと思ったが、こういうゲームで勝てないと、目標には届かない」と反省。さらなる堅守速攻の精度向上で、昨季クラブ史上初のリーグ7位超えを目指す。

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