横浜F・マリノスの中山昭宏社長(58)が4日、親会社の日産自動車が前夜に「日産は横浜F・マリノスの筆頭株主であり続けます」と声明を出したことを受け、アウェーの柏レイソル戦を前に試合会場でメディアの取材に応じた。
中山社長は「昨夜、日産自動車からリリースがありましたけど、現時点で我々のところにあれ以上のものは届いていない」と断った上で、質問に応じた。
日産はマリノス運営会社の親会社で、株式の約75%を保有している。
3日の声明では「マリノスの筆頭株主であり続けます」と約束した上で、「マリノスの成長を支え、財務的な持続可能性を高めるため、成長戦略の一環として、株主構成の強化について積極的に検討しています」「マリノスは日産の伝統と価値観、地元を大切にする姿勢の象徴であり、私たちは今後もチームの目標達成や将来の発展を支援し続けます」と強い使命感を持って誓った。
9月29日、世間に衝撃を与えた「身売り検討」の一報からわずか4日。IT大手など少なくとも3社以上と接触したと報じられる中、日産は事態の沈静化を一気に図った。
中山社長は前日夕方に日産側から声明の発表を伝えられたという。今回のメッセージを受けての感想を問われると、こう話した。
「まず一点目、リリースの中に日産自動車が横浜F・マリノスの筆頭株主であり続けるというコメントがあったと思いますけど、そこに日産の親会社としての強い思いがあるなと感じています。我々としてもしっかりと、重く受けとめているところです。
もう1点は、株主構成について積極的に検討していくとありましたが、ここについては日産自動車が今後検討していくと思われますので、我々としてもきちんと提案していくというふうに思っています。
三点目は、日産自動車が我々のことを象徴と言ってくれていますので、我々クラブの原点は日産自動車サッカー部なので、そこから50年以上の歴史で培われてきた我々の価値、ブランド、アイデンティティーを守り抜くという基本的な姿勢は変えずに引き続き、その旨を日産自動車に伝えていこうと考えています」
横浜市の山中竹春市長らはマリノスの活動継続の要望書を日産のエスピノーサ社長宛に送付するなど、地域の公共財として従来通りのマリノスが存続することを願っていた。それは市民も同じだった。
クラブは地域の公共財という点について、中山社長はこう回答した。
「我々が日々ホームタウンでやっている活動を、我々クラブ側だけでなく行政の方ですとか、ホームタウンのみなさまがすごく感じてくださったのかなと思いますし、そのメッセージが日産自動車側にも伝わったのではないかと思います」
一部株式を売却し、構成比率を変えることは間違いない。ただ本丸の経営体制は変わらない。またシティー・フットボール・グループ(CFG)とのパートナーシップ契約は6月で解消となったが、今後もチーム強化上での路線は継続されるという。
「基本的に今やっていることがベースが変わらないで続けられることはポジティブです。当然、我々はアジアで戦うクラブを中期的に目指していく中で、そのベースは変わらない」
その上で改めて日産との共創を強調した。その上で「マリノスとして日産のためにできることはもっとある」と口にした。
そして、マリノスを守り続けるという思いを強くしたようだ。
「私は日産でなく、マリノスの人間。マリノスの価値をきちんと伝える、マリノスが今マリノスであることをきちんと守る。もっというとマリノスが今後成長するために必要なことを親会社に伝えていく。それを伝えた後に日産がどう動くか分からないですけど、親会社から言われたことを“はい”だけでなく、きちんと先手先手で伝えていくことは必要かなと思います。今回のリリースの中にも、我々の価値を認めてくれた結果、あーいうことになっているのかと思います。そういう意味ではもっと発信していこうと思います」
クラブを守る責任者として肝に銘じるかのように、誓いを立てた。
雨降って地固まるとなるか-。経営側の騒動とは別に、選手たちはJ1残留というかつてない厳しい局面に立ち向かっている。中山社長が口にした「価値、ブランド、アイデンティティー」を死守すべく、何よりチームがJ1の舞台に居続けることが求められる。【佐藤隆志】



