左ひざ付近の重傷で今季の復帰が絶望視されていた東京ヴェルディFW山田剛綺(25)が、明治大とのトレーニングマッチで実戦復帰を果たした。

1-2で迎えた後半16分からピッチに登場し、1トップに入った。雨でぬかるんだピッチの中、前線からボールを懸命に追い、チャンスとみればゴール前へ入って行くプレーを繰り返した。

山田のプレスに合わせ、チームの動きは活性化。後半20分に右からの鋭いクロスボールがオウンゴールとなって追いつくと、同21分にはMF川村楽人、同26分にFW白井亮丞、さらに同30分に練習生がゴールを決めた。登場から14分で4ゴールが飛び出し、スコアを5-2と引っ繰り返した。

山田も後半32分にクロスボールからヘディングシュートを狙ったがオフサイド。同45分にもクロスボールから滞空時間の長いヘディングシュートを放った。惜しくもGK正面で得点とはならなかった。ゴールという最高の結果は付かなかったが、上々の復帰戦となった。

山田は開口一番に「楽しかったです」。そして「チームとしても負けていたので自分が出て勢いがますように、と試合に入りました」と振り返った。

左足の感触については「前の感覚でできる時と、体勢が良くないと怖かったりするときもあるんですけど、徐々に高さもタイミングも合わせられてきたかな」。ゲーム体力の部分が今後の課題となってくる。「ちょっと(時間が)長いと徐々に疲れとか、ふくらはぎが張るなとかはある。それもやっていかないと解消できないと思うけど、徐々に伸びてる感触はある」。

また、試合ではキャプテンマークを巻いてプレー。「なんかいいっすね。より一層やる気が出ました」。元気印の男がピッチを明るくした。

山田は3月2日のJ1第4節ガンバ大阪戦で、空中で競り合った際に体勢を崩したままピッチに左足から落ちた。診断名は「左膝複合靱帯損傷、半月板損傷」で全治8カ月という重傷だった。3月下旬に手術を受け、そこから地道なリハビリを経て9月半ば頃からチーム練習にも合流。予定より1カ月ほども早く、実戦にに戻れた。

「トレーナーの松田さん、牟田口さん、本当にオフの日もケガの時は病院に来てもらったり、送迎してもらったり。チームがオフでも関係なく、自分のために(時間を)使ってくれた方々がいた。フィジカルコーチの能城さんも自分のメニューを組んでくれたり、昼からの2部練をさせてくれって言って付き合ってもらったりとか。そういう人たちの支えで自分はここまで戻ってこられた。あとは結果で恩返しできることが一番かなと思います」

チームは前日の清水エスパルス戦に0-1敗れたが、ほかのチームの結果で今季のJ1残留が決定。残り3試合を戦う。その残り試合でピッチに立ち、結果を残すことが山田の目標となっている。

城福浩監督は、山田の実戦復帰について「メディカルとの相談で、できれば45分と思っていたんですけど。こういう(雨の)天気というのもありますし、メディカルとしてもできるだけリスクを減らしたいというのもあって、じゃあ30分でいこうとなりました」と説明した。

さらに「早く練習試合に復帰できる状況になったので、ここから本当に後戻りしないことというか、ここが大事になる。あと3試合あるので、彼がフェアな競争の中で20人に入れるチャンスがあれば、これはチームとしても勢いづくことになると思う。まずはフェアな競争をしてほしいなというふうに思います」。“フェアな競争”という言葉通り温情はない。フラットな立場から出場機会を勝ち取ってほしいと期待した。

そしてこの日のプレーぶりについては高く評価。「(ヘディングシュートは)惜しかったですね。でも彼の守備のうまさっていうか、ボールに行くところと、空いているボランチを消すところと、2度追いするところっていうのが、染み付いている。あの後ろの選手はすごく助かったんじゃないかな」。

現在13位のチームが残り3試合でさらに上の順位を目指すためにも、山田の公式戦復帰は大きな起爆剤となりそうだ。【佐藤隆志】