日本代表元主将のDF吉田麻也(37)がW杯北中米大会壮行試合のアイスランド戦にキャプテンマークを巻いて限定出場した。22年12月のW杯を持って代表から離れていたが、森保一監督のオファーで3年半ぶりに復帰。先発出場して前半13分までプレーした後、両チームの選手の花道を持って送り出された。歴代3位の国際Aマッチ127試合目(12得点)。一時代を築いた男が代表活動に区切りを付けた。

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W杯へ向かう大事な壮行試合で異例の試みだった。吉田が国立のピッチに立った。3バックの中央で主将として君臨。以前と変わらぬ安定感あふれるプレーで相手ボールをはねかえし、前線へ正確なパスで好機もつくった。そして前半13分、その時が来た。両チーム選手が花道をつくった中、各選手と握手。最後はキャプテンマークを遠藤の腕に巻くとピッチから去った。

「賛否両論はあると思いますけど」。前日会見で森保監督はそう断った上で、吉田を今回限定的に招集した理由を明かした。

1つは、日本代表がW杯で勝つ可能性を1%でも上げるため-。吉田が合宿に参加することで、これまでの経験を若い選手たちに伝えてほしい。そんな願いをまとっていた。

そしてもう1つ。吉田が長く日本のために戦ってきたことへの「感謝」、プロ選手会(JPFA)の会長として環境づくりに尽力していることへの「感謝」だった。さらに補足すればW杯代表メンバーは26人に限られるが、これまでに多くの選手が関わり、その結果がW杯につながったと森保監督は考える。だからこそ、選出できなかった選手たちの思いも含め、こういう壮行の場に吉田を代表として立たせたかった。一つの絆の象徴ということだ。

森保監督の熱い思いは、しっかりと吉田に伝わっている。壮行試合を前に、吉田はこう受けとめていた。

「自分自身がこういうことをやっていいのか葛藤があった。例えば100試合出たとか、そういう選手に対してイングランドだったらOBE(大英帝国勲章)とかもらえる。まだまだ国から表彰されるレベルではないかもしれないけど、自分たち選手が日本のために戦ってきたことへの敬意を示してくれるというのは、僕だけじゃなくて、実績を積んだ選手への1つの文化や伝統として日本サッカーにつながっていくと思う」

今の自分が日本サッカー界に返せるものは何か? を問い続け、後に続く者たちへの道を整えている。

「30を過ぎてから自分は何を与えられるのか? 逆にギブの精神を考えるようになった。自分も大人になって、選手会とか何か自分が利他の心でできるものって何だろうと思って。それがまだここ(サッカー界)にあるんじゃないかなっていうふうに思っている」

これほど日本サッカーの伝統がつながり、一体感を持ってW杯に向かうことは8回目にして初めてかもしれない。森保監督が2大会連続で指揮を執った強みが、吉田のセレモニーという形で浮き上がった。

総力を結集して「最高の景色を」目指す日本代表。最高のムードで壮行試合を終え、決戦の地へ向かう。【佐藤隆志】

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