<高校サッカー:日大藤沢3-2高川学園>◇2回戦◇2日◇ニッパ球

 7大会ぶり出場の日大藤沢(神奈川)が高川学園(山口)を下し、3回戦に進んだ。ペルー人の両親を持つFW田場ディエゴ(3年)が、2戦連発となる決勝ゴール。神奈川大会ではスーパーサブで活躍し、12月31日の初戦は約5カ月ぶりに先発して1ゴール。この試合前に初めてゲーム主将を任された使命感を胸に躍動した。

 日大藤沢の“神の子”が16強に導いた。アルゼンチンの英雄マラドーナからファーストネームを取ったFW田場ディエゴがゲーム主将としてけん引。2-1の後半22分、その個人技を見せた。ペナルティーエリア左へのスルーパスに走り込み、ボールに触ると迷いなく左足を振り抜いた。対角のゴール右隅に突き刺した2戦連続弾。これが結果的にチームのV弾となった。

 両親がペルー人で日本人の曽祖父を持つ。ペルーでアマチュア選手としてプレーしていた父が南米の大スターから名前を取った。小学4年から競技を始め、中学時代は戦術の中心がドリブルのFC湘南ジュニアユースで練習。日大藤沢で本家と同じ10番を託された。

 ビッグな名前の一方、神奈川大会はスーパーサブだった。技術を過信するあまり、ドリブルを止められた後のカウンターで失点することが多く、態度も悪かった。それでも県3連覇中だった桐光学園を止める決勝弾などで見返し、大みそかの1回戦(徳島市立戦)で公式戦5カ月ぶりの先発を奪還。一時勝ち越しとなるゴールで期待に応えた。

 この日はサプライズでゲーム主将を任され、円陣で「前半から飛ばしていくぞ」と仲間を鼓舞。本家のような5人抜きはできなかったが、泥臭く足がつるまで走り回った。その姿で佐藤輝勝監督(35)を「厳しく接してきたが大きく成長してくれた」と認めさせた。

 3回戦で開志学園(新潟)に勝てば学校の最高成績8強に並ぶが「もっと上に行く」と田場。将来の夢を「プレミアリーガーになって(チェルシーDF)テリーを抜く」と語る男には、通過点でしかない。

 ◆田場(たば)ディエゴ

 1996年(平8)5月31日、神奈川県生まれ。滝ノ沢小4年時に父親の勧めでサッカーを始める。FC湘南ジュニアユースを経て日大藤沢入り。好きな選手は元ブラジル代表FWロナウジーニョ。家族は両親と兄、弟。172センチ、63キロ。