FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会決勝トーナメント1回戦で、日本はクロアチアに敗れ、大会を終えた。

1次リーグでは優勝経験のあるドイツ、スペインを撃破したが、目標の8強入りは逃した。森保一監督(54)が就任して4年。今大会を通じて得た収穫と課題とは何か。「森保ジャパン ドーハの光と影」と題し、連載する。

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ベスト8を懸けたクロアチア戦で敗れた直後の取材エリア。MF鎌田大地は言った。「今回のやり方で戦ったとしても、先はない」。ドイツとスペインに勝ったことで、覆い隠された課題がある。ボール保持率で上回ったコスタリカ戦は敗れた。クロアチア戦もボールを握る場面が増えるほど、攻めあぐねた。

勝利したドイツ戦のボール保持率は24%、スペイン戦はわずか17%。守って相手を引き込み、カウンターでゴールを狙った。「弱者の戦法」だった。前半を「0-0、0-1でもいい」と割り切って守り、後半でカウンターを仕掛けた。

もともと堅守速攻の理想は、相手ゴールに近い、高い位置でボールを奪って攻め込むこと。9月のドイツ遠征で2-0と完勝した米国戦では、それができていたが、W杯でぶつかった強豪国には一方的に押し込まれた。守備で耐えて勝つスタイルはチーム内にもどかしさを残した。鎌田は「スペイン、ドイツとはまだレベルの差がある」としみじみ言った。

一方で「弱者の戦法」が今の日本が勝つために必要な戦い方だったことは間違いない。攻撃的なパス連係で崩す、主体的なサッカーだけを求めて、負けては意味がない。救いは森保監督も選手たちも決して勝ち方に満足していないこと。森保監督は「高強度、ハイスピードの中で、試合をコントロールして優位に進める部分は、課題として考えなければいけない」と話す。ドイツ、スペイン戦で得点を奪ったMF堂安律も「強豪国相手に90分間、ボールを保持して勝ちたい理想はある。粘り強い守備はベースに持ちながらも、理想を追い求めたい」と続けた。

理想的なサッカーで勝つという目標にたどり着くためには、今以上に、ハイレベルな環境に、常日頃から身を置くことが不可欠。海外リーグでなく5大リーグ、欧州リーグでなく、欧州チャンピオンズリーグ(CL)。他国の代表選手たちとしのぎを削る経験が求められる。MF久保建英は「まずは今季リーグ4位以内に入ってCLに出ること」と、クロアチア戦翌日には今後の具体的な目標を口にした。

強豪国にも、一泡吹かせる力はついた。しかし、ベスト8以上の「新しい景色」を見るためには、堅守速攻であれ、パス主体のポゼッションサッカーであれ、自分たちが主導権をにぎり、がっぷり四つで押し切る横綱の戦いが求められる。貴重な教訓が、指揮官と選手の胸に刻み込まれた。【岡崎悠利】(終わり)