フランス・フットボール誌が主催する21年の最優秀選手賞「バロンドール」の表彰式が11月29日にパリで行われ、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(34=パリ・サンジェルマン)が自身の最多記録を更新する7度目の受賞を果たした。

メッシは今夏の南米選手権で母国を優勝に導き、昨季スペインリーグでは30ゴールで得点王となった。記者投票の結果、メッシは613点を獲得し、580点のポーランド代表FWレバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)らを抑えた。10位までの結果は次の通り。

1、メッシ

2、レバンドフスキ

3、ジョルジーニョ(チェルシー)

4、ベンゼマ(レアル・マドリード)

5、カンテ(チェルシー)

6、ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)

7、サラー(リバプール)

8、デブルイネ(マンチェスター・シティー)

9、エムバペ(パリSG)

10、ドンナルンマ(パリSG)

賞の発表から約1週間がたち「どの記者が誰に票を投じたか」など、投票の詳細がフランス・フットボール誌から発表され、ちょっとした話題となっている。投票は世界各国の記者によって行われ、各記者が選んだ1位~5位の5選手に対し、1位6点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点のポイントが与えられ、合計点でランキングが決まる。

まず面白いのがフランス・フットボール誌の責任編集者であるパスカル・フェレ氏の投票。同氏は1位レバンドフスキ、2位メッシ、3位ベンゼマ、4位ジョルジーニョ、5位エムバペとしており、主催者が「メッシ推し」ではなかったことが分かる。

次に欧州主要リーグを持つ国の記者で見てみると、イングランドのヘンリー・ウインター氏(タイムズ紙)とイタリアのパオロ・コンド氏(ラ・レプブリカ紙)の1位はジョルジーニョ。ドイツのカールハインツ・ビルト氏(キッカー誌)はフランスのフェレ氏と同様にレバンドフスキを1位とした。スペインのアルフレド・レラノ氏(アス紙)はベンゼマを1位に挙げた。

こういう投票では、自国の選手や自国のクラブに所属しているプレーヤーを選びがちになるもの。ブラジルのクレベール・マチャド氏(TVグロボ)は5位にネイマールを入れ、宿敵アルゼンチンのメッシの名前はなかった。

そんな中で少し驚いたのがポルトガルのジョアキム・リタ氏(SICテレビ)。1位カンテ、2位レバンドフスキ、3位エムバペ、4位ジョルジーニョ、5位サラーで、同国の英雄ロナウドの名前が5位にすら入っていなかった。

ちなみに日本で雑誌「ナンバー」等に寄稿している田村修一氏は1位レバンドフスキ、2位ジョルジーニョ、3位メッシ、4位ベンゼマ、5位モレノ(ビリャレアル)とした。今夏の欧州選手権にも出場したモレノの名前を挙げたのは田村氏ただ1人だった。

いずれにしても、このように投票の内訳が公表されるのはすごく良いことだと思う。記者1人1人が自分の投票に責任を持つようになるからだ。日本でも年末にかけてさまざまな競技でこういった賞が発表されるが、投票内容を公表してもいいかもしれない。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)