<欧州選手権:スペイン0-0(4PK2)ポルトガル>◇準決勝◇27日◇ドネツク

 スペインのデルボスケ監督は「運のおかげで決勝進出できたよ」と、胸をなで下ろした。この日はFWネグレドを今大会初めて先発起用も、結果につながらなかった。MFシャビも運動量が上がらず、途中でベンチに下げなければならなかった。

 ただ、PK戦では経験値の高さが出た。キッカーが5人とも重圧のかかる5番手を志願する勇ましさ。1番手が失敗も、MFイニエスタが相手GKの指先を越えて右隅に決め、DFセルヒオラモスは緩いチップキックで揺さぶった。「PK戦になる予感がした」というMFセスクが、前回大会準々決勝イタリア戦と同じく5番手。ボールに向かって「僕らは歴史をつくる。裏切るわけにはいかないんだ」とつぶやき、際どい一撃を決めた。

 攻撃ばかりが取りざたされる中、守備面でも結果を出した。08年大会、10年W杯、今大会と決勝トーナメントで9試合連続完封だ。「守る時間が長いのは嫌だけど、守備の向上はうれしい」とデルボスケ監督は照れくさそう。大会史上初の連覇へ、あと1勝と迫る。「相手がドイツでもイタリアでも、名勝負となる。どちらでも構わない」。王者らしく迎え撃つつもりだ。