東京オリンピック(五輪)予選を兼ねたU-23アジア選手権で、開催国のタイを率いる西野朗監督(64)は、バーレーンとの初戦に5-0と大勝した。

後半早い時間までに2点をリードし、その後はバーレーンの猛攻を受けたが、耐え切った。後半33分に3点目が入ると、後半ロスタイムまでゴールラッシュ。完勝だったが、試合後、西野監督は浮かれることはなかった。

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クールな西野監督が両手を横に広げて喜んだ。後半早い時間までに2点をリード。その後、猛攻に耐えた後に3点目が入ると、厳しい表情がようやく崩れた。大事な初戦に5-0の完勝。「常に相手ゴールへの積極性をもって戦おう、1人でなくグループで戦おう、と伝えたことを選手たちが実践してくれた」。試合後はいつものダンディーな表情で冷静に振り返った。

A代表のW杯予選があったため、U-23世代を率いたのはここ1カ月半くらいだった。昨年11月末から開催された東南アジア版五輪「SEAゲームス」では1次リーグ敗退と結果を残せなかった。それでも西野監督は「チーム力、選手の能力は高かった。私のマネジメントが良くなかっただけ」と、選手を責めることはなかった。

今大会も本来なら予選敗退の立場で、開催国枠で出場。計画通りにはいかなかったが、焦りはなかった。18年W杯ロシア大会前は、日本代表監督だったハリルホジッチ氏の解任で大会の2カ月前に急きょ大役に就任。修羅場をくぐり抜け、本番では決勝トーナメント進出を決めた。よっぽど

のことがない限り動じることはない。「(タイにとっては)すべて強豪国相手だけど、過剰にリスペクトをする必要はない。自分たちも十分な力を持っている」と、短期間で積み上げてきたものを信じて試合を迎えていた。

1次リーグを突破すれば、決勝トーナメントの初戦(準々決勝)で日本と対戦する可能性もある。11日の次戦は強豪オーストラリアと対戦。西野監督は「パフォーマンスを考えれば、ベースとなるのは今日の先発。ただ相手がオーストラリアということで、いろんな対策を考えないといけない」と、初戦の勢いを持続する決意は強かった。