レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督のRマドリードでの現役最後の試合後のエピソードを、当時同僚だった元ブラジル代表DFシシーニョ氏が語った。23日、米メディアESPNのインタビューに応じたもの。06年5月7日、Rマドリードのホーム、サンティアゴ・ベルナベウで行われたビリャレアル戦後のことだった。

シシーニョ氏は「ジダンはRマドリード最後の試合でとても感激していたし、彼がレジェンドとして引退することに僕たちも感動した。その時、フロレンティーノ・ペレス会長がロッカールームに入ってきて、選手1人1人と挨拶を交わしたんだ。その後で起こったことは忘れられないものだったよ」と話した。

そして「当時のチームの最高年俸は650万ユーロ(約7億8000万円)だった。そしてロビーニョが『会長、ジズー(ジダンの愛称)がもし新たに650万ユーロ(※当時のメンバー内の最高年俸)の2年契約を結ぶなら、引退しないと言っていましたよ』と冗談を言ったんだ。みんなは笑ったけど、会長は『もし君が望むなら、サインできるように今すぐ契約書を持ってくるよ』と真面目に話した。ジダンはしばらく考えて、『ノー、ノー、これ以上プレーしたくありません』と答えたんだ」と当時を振り返った。

またジダンについてシシーニョ氏は「ジズーはオーケストラの指揮者だった。常にピッチで僕たちのポジショニングをサポートしてくれたし、試合前にはみんなを指揮してくれた。彼はすでにピッチの監督だったんだ。会長はジダンがスーツを着てプレーしていたと常々言っていたけど、それは彼のピッチでの優雅さだったし、汗すらかいていなかったんだ!(笑い) 彼のプレーを見るのは楽しかったよ」と大絶賛した。

ジダンは06年5月にRマドリード最終戦を戦った後、同年7月9日に開催されたワールドカップ(W杯)ドイツ大会決勝のイタリア戦を最後に引退。そして現在、指揮官としてRマドリードを率いている。(高橋智行通信員)