新型コロナウイルスの影響を大きく受けた今季の特異なスペインリーグを制したことは、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長の考えを強めることになったとスペイン紙アスが27日に報じている。

すなわちそれは、来季に向けて大型補強を必要としないというもの。ペレス会長は現在のメンバーについて、十分な若さと選手層の厚さがあり、全てのポジションがしっかりとカバーされているため、新型コロナウイルスの影響を受けたクラブの財政面をわざわざ苦しめる必要はないと考えているという。

Rマドリードは近年、世界で最も有望な若手選手を獲得するという方針。実際、ビニシウスやロドリゴなどは10代で入団しながらもそのままジネディーヌ・ジダン監督指揮下のチームにとどまり続けており、久保建英などの将来が期待されるその他の選手たちも、その成長が妨げられないように期限付き移籍で他クラブに所属している。

そんな中、今季期限付き移籍でプレーした選手たちの動向について、アス紙は改めて整理した。最も期待の大きいウーデゴール(レアル・ソシエダード)は来季1年間、再び同じチームでプレーする予定になっているが、2021-22シーズンにトップチームに加わることが濃厚となっている。またこのことは、21年6月30日で契約切れとなるモドリッチが退団する場合、Rマドリードが慌てて新たな選手を獲得する必要がないことを意味している。

ウーデゴール同様、クラブの大きな信頼がある久保建英(マジョルカ)も、もう1年期限付き移籍に出されることが決定的になっている。

一方、マジョラル(レバンテ)、バジェホ(グラナダ)、オスカル・ロドリゲス(レガネス)については、買い戻しオプション付きで売却される動きがあり、ダニ・セバージョス(アーセナル)とレギロン(セビリア)は将来、ジダンが辞任した場合、チームに戻る可能性があると推測されている。

また今季、Bチームのカスティージャに所属したヘイニエルは、スペイン1部リーグのクラブに貸し出されることが濃厚になっている。

選手層が厚いことにより、Rマドリードはパリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペ(21)の獲得を来年に延期し、21年夏の最大の目標に掲げているという。

4月にパリ・サンジェルマンのスポーツディレクターを務めるレオナルド氏が、「来夏のオファーを受けるのではなく、2022年に無料で放出するつもりだ」と語っており、獲得は困難を極めると予想される一方、その発言はエムバペにプレッシャーをかけるためのものという見方もある。なぜならエムバペは22年6月30日で切れる契約の延長オファーをクラブから受けているが、現時点で拒否しているためである。

エムバペの他、Rマドリードの獲得候補として、レンヌのU-21フランス代表MFエドゥアルド・カマビンガ、ナポリのスペイン代表MFファビアン・ルイスが挙がる他、最近ではジダンがカルバハルのバックアップとして、ニース所属のアルジェリア代表の右サイドバック、ユーセフ・アタルに注目しているというニュースも出ている。

(高橋智行通信員)