ヘタフェ所属の日本代表MF久保建英(19)は18日、スペインリーグ第33節で保有元のレアル・マドリードと今季3度目の対戦を迎える。これを受け、スペイン紙アスは試合当日の紙面で久保特集を組んでいる。

同紙は現在に至るまでの久保の今季の歩みを紹介。久保を高く評価したエメリ監督に率いられたビリャレアルは期待を寄せて昨夏、久保を期限付き移籍で獲得するも「マジョルカでの素晴らしいシーズン後に今季をスタートした時、こんなにも難しいものになると予想していなかった」と久保にとってビリャレアルでの今季前半戦が厳しいものになったことを強調し、「数カ月後にその関係は破綻した」と伝えている。

続いて、久保のヘタフェ移籍の経緯については「ビリャレアルでの出番の少なさとオファー到着が1月に久保の空気を変えさせた。Rマドリードが久保にヘタフェへ移籍するように促し、ボルダラスが説得した」と説明した。

しかし、「素晴らしいパフォーマンスを披露して議論の余地のないスタメンとなり、輝かしいスタートを切った後、ヘタフェでも出場機会が減っていった」と、ビリャレアルと同じ状況に陥っていることを指摘し、「久保の1試合平均の出場時間はビリャレアルで36分間だったのに対し、ヘタフェでは44分間と増加しているが、ここ10試合での先発出場数はわずか3試合のみである」と、チームを変えたものの、状況が大幅に改善されたわけではないことを強調している。

久保がヘタフェでスタメンを外れている原因については「チームの悪い成績により、ボルダラスが古参の選手を起用し、再びクラシックなスタイルに戻した。このことは、直線的ではなく、より手の込んだプレーに快適さを感じる久保に恩恵を与えるものにならなかった」と説明している。

このように厳しい状況にありながらも同紙は、「久保はRマドリードで成功を収めるため、可能ならば来季の復帰を考えている。Rマドリードと久保のプランは、久保が今夏以降、Rマドリードで自分の居場所を作ることができるというものだった」と伝え、「今日の一戦は久保にとって、2019年夏のプレシーズン(久保はRマドリードの一員として北米遠征に参加)で一緒だったチームメート相手に輝く最後の機会になるかもしれない」と、来夏のRマドリード復帰の可能性を示唆した。

また、「Rマドリードの選手の多くが(北米遠征で)久保と一緒に練習した時、そのクオリティーの高さに驚いた」と明かし、「ロッカールームは彼に特別な愛情を持っている」と久保がRマドリードの選手たちに気に入られていることを強調した。

しかし、久保が今夏Rマドリードに戻るためには、昨季も報じられていたEU圏外枠の問題があるとのことだ。「Rマドリードは1年以上手続きしているビニシウスのスペイン国籍取得により、EU圏外枠をひと枠空けることを望んでいるが、新型コロナウイルスの感染拡大で行政手続きが滞り、まだ取得できていない」と時間がかかっていることを説明。そして、「今から夏にかけてビニシウスがスペイン国籍を取得できない場合、UE圏外枠3枠はビニシウス、ロドリゴ、ミリトンが占めることになる」と今季と同じ状況が続き、久保に来季、戻る場所がないことをアス紙は伝えている。

Rマドリードと今季3度目の対戦を迎える久保は、今季前半戦のビリャレアル所属時に対戦した際は後半44分し、1-1で引き分けた。ヘタフェ加入後の2月の対戦では後半10分から出場するも、際立つパフォーマンスを見せられず、チームも0-2で敗れていた。(高橋智行通信員)