今夏に横浜F・マリノスからフランス2部トゥールーズに加入したFWオナイウ阿道(25)が絶好調だ。開幕戦こそ途中出場だったが、そこから8試合連続で先発し5発と波に乗っている。センターFWや左のウイングで起用され、フル出場も3試合。既にチームに溶け込み、信頼をつかんでいることがうかがえる。

オナイウは埼玉・正智深谷高からJ2ジェフ千葉でプロ生活をスタートさせた。プロの目に留まったのは、高校3年生の夏の全国高校総体だった。準々決勝の星稜(石川)戦で、ジャンプ力を生かしたヘディング弾やドリブル突破など2得点2アシストの「阿道劇場」。複数のJクラブが獲得に乗り出し、いくつかのクラブに練習参加にも行った。

あるクラブに練習参加にた際、全選手の名前を覚えてきており、スタッフから「このような選手は初めて」と驚かれた。今でこそDAZNでJ1からJ3まで見られるが、当時はなかった。18歳にして、練習に参加するチームのこともしっかり勉強していた話を聞き、異国の地ですぐに活躍するのもうなずける。

トゥールーズでは英語でインタビューに答えており、本人も「コミュニケーションの部分では、なるべくフランス語と英語を交えながら積極的にいっています。言葉の問題はありますが、うまく気にしないで自分らしくできたら」。コミュニケーション力の高さも活躍を後押ししている。

日本代表としては、6月のワールドカップ(W杯)アジア2次予選キルギス戦ではハットトリックを達成。9月のW杯アジア最終予選には追加招集で呼ばれたが、出場機会はなかった。9月28日には10月のサウジアラビア戦、オーストラリア戦に臨む日本代表メンバーが発表される。

森保ジャパンは最終予選2試合でわずか1得点。MF久保、古橋が負傷離脱中で、MF伊東はサウジアラビア戦が出場停止で台所事情も厳しい。「ボックス内で得点に絡む所は特長」と自負する好調のオナイウが、最終予選でも「阿道劇場」を起こすかもしれない。【岩田千代巳】