【サン・セバスティアン=高橋智行通信員】レアル・ソシエダードMF久保建英(22)が激高し、相手選手とやり合う場面があった。
後半アディショナルタイム2分、ビルバオFWイニャキ・ウィリアムズのドリブルを追い、タッチライン際で激しく体を当てながら執拗(しつよう)にチャージ。ボールが外に出てプレーが切れた途端、立ち去ろうとする久保はいきなり右手をつかまれた。
イニャキ・ウィリアムズから暴言を吐かれると、久保の表情が一変。すかさず味方のトラオレが間に入り、両者を引き離したが、久保は収まらない。
スペイン語で言い返し、詰め寄ろうとした。さらに周囲には両チームの選手が割って入り事なきを得たが、つかみかからんばかりの勢いだった。
ゴールを挙げるなど存在感を見せつけた久保はこの日、闘争心の塊だった。後半34分に前線でルーズボールを追った際に相手選手のひざが足に入り、ピッチに倒れ込んでもん絶。その後、アルグアシル監督がピッチサイドに歩み寄り、「大丈夫か?」と交代をうながしたが、首を横に振って応じず。最後までピッチに立ち続け、3-0と快勝が見えたアディショナルタイムの場面でも手抜きはなく、一貫して激しいチャージを見舞った。
今季最初のバスクダービー。中世の時代から都市間の争いが絶えなかった欧州において、サッカーのダービーマッチは特別なものだ。レアル・ソシエダードサポーターはこの日、試合前から大興奮だった。会場全体をチームカラーの青と白のモザイクで彩り、バックスタンドに大きく「REAL」の文字が浮かび上がった。
そんな雰囲気を背負い、久保は最後までピッチに立って走り、戦い続けた。