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 クラブW杯>◇決勝、3位決定戦◇18日(日本時間19日)◇アブダビ

 欧州代表インテルミラノ(イタリア)が決勝で、3-0とアフリカ代表マゼンベ(コンゴ)を破り、前身のインターコンチネンタル杯以来45年ぶりにクラブチーム世界一の座を奪回した。FWエトー(29)が先制点をアシストし、2点目のゴールを決める活躍で勝利を呼び込んだ。カメルーン代表の主将も務める男が、南アでのW杯アフリカ大陸初開催、マゼンベの初のクラブW杯決勝進出と続いた「アフリカの年」の最後を締めくくった。同日に行われた3位決定戦ではインテルナシオナル(ブラジル)が城南(韓国)を4-2で破った。

 試合終了の瞬間、エトーの心は「アフリカ代表」に戻っていた。優勝を喜び、肩を組んで跳びはねるチームメートの輪を離れ、相手選手たちに歩み寄ると1人1人と抱き合って健闘をねぎらった。「彼らがアフリカで初めてクラブW杯決勝に進んだことは私もうれしい。自信を持てば、どんな目標も達成できることを示した」とたたえた。大会MVPを獲得したエトーの受賞理由には、プレーとともに対戦相手を尊ぶフェアプレー精神も明記された。

 文句なしの活躍でチームを世界一に導いた。前半13分にFWパンデフの先制点をアシストする絶妙な浮き球パス。4分後には、パンデフのトラップミスに反応し、難しい体勢から2点目を決めた。「自分ができることと、チームに貢献することのバランスを考えなければならない」と自身のゴールだけでなく、周囲を生かすプレーを続けた。

 ゴール後には白いビニールの買い物袋を両手に持つパフォーマンスを見せた。少年時代、買い物帰りに犬に追われて逃げ、鉄条網に足を引っかけてけがをしたエピソードにちなむもの。母国カメルーンの発展途上の状況を象徴する話だが、厳しい環境も含め、ありのままの母国とアフリカへの誇りから、あえてやってみせたという。

 バルセロナとインテルミラノでの欧州CL制覇、スペインリーグ得点王など数々のタイトル獲得で「欧州で最も成功したアフリカ人」と呼ばれる。だが、この大会はけがなどで出場機会に恵まれなかった。両チーム最高の7・5点をつけたイタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトは「唯一、彼に欠けていた大会で優勝を決めた。謙虚さと周囲を生かすプレー、決定力を併せ持つ。忘れられないインテルの2010年の象徴になった」と絶賛した。

 バルセロナ時代までは自己主張の強さで問題児扱いされることもあった。だが、今はチーム全体を見渡してバランスを取れるワンランク上の選手になった。世界のサッカー界でアフリカの存在感をアピールした年の最後を、大陸NO・1選手が締めくくった。

 [2010年12月20日9時34分

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