【ヒューストン(米国)29日(日本時間30日】残酷な結末が、またも待っていた。F組2位の日本(FIFAランキング18位)がC組1位のブラジル(同6位)に1-2で、後半終了間際の決勝被弾で逆転負けした。3大会連続5度目の決勝トーナメント(T)も悲願の初勝利を逃した。森保一監督(57)が就任して7年と11カ月。進化は遂げた一方、世界トップ級との差を「ヒューストンの悲劇」で突きつけられた。史上最強のはずが、最高の景色=優勝どころか新しい景色=8強も拝めず、前回までを下回る32強で姿を消した。
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カナリア色が無情に揺れた。後半追加タイム6分表示の5分、誰もが延長戦と思った矢先、最後の最後で相手をフリーにした。シュートはGK鈴木彩の左手をかすめたが、右ポストに当たり枠内に吸い込まれた。初優勝を公言してきた森保監督は、決勝Tで初となる優勝経験国との対戦で、はね返された。王国ブラジルの意地と底力に屈服した。
展開は理想的だった。前半から生命線の組織力で守備ブロックを敷き、苦しめた。同29分には2期8年で突き詰めてきた「いい守備から、いい攻撃」のコンセプトを発動。ボール奪取からMF佐野が先制し、前半1点リードで折り返した。
しかし後半…。歴史上唯一の欧州5大リーグ完全制覇を誇るアンチェロッティ監督が調律し、クロスを多用してきた。耐え切れず失点。体力無尽蔵のMF前田が「時間の問題だった」と言うほど消耗させられた。
森保監督は、優勝を争うトップ層との距離を「間違いなく縮めてこられている」と自負し「史上最強」にはなったが「世界最強」とは差があった。4年前はドイツ、スペインを連破も、試合自体は一方的に支配された反省から「主体性」をテーマに定め、守り一辺倒にならない成長を求めた。
カタール大会後の2期目は指導型からマネジメント型の監督に転身。攻撃、守備、セットプレーなど担当コーチの分業制で戦術浸透を深め、親善試合ではイングランドやブラジルを破る番狂わせも起こしてきた。
「日本がコントロールできる時間も長くなり、守備も受けられるようになった」と進化した印象は与えたが、データ上は違う現実が浮かび上がった。ブラジル相手にボール保持率こそ6割まで抑え込めても、シュート本数は5対19、敵陣深くへの進入は日本の9回に対して34回も献上した。結局は自陣に閉じ込められての必然の逆転負けだった。
3大会連続の決勝Tは全て先制したが、全て逃げ切れなかった。全て空中戦で失点した。わずか、ではなく、とてつもない差を後悔の繰り返しが物語る。「チャンスがあっても、つかみ取れなかった。監督の力が一番足りなかった」。これでPK戦、後半49分失点、PK戦、後半50分失点で力尽きており、また一進一退の線を越えられなかった。
ラウンド32。目標の世界一どころか後退した。惜敗を重ねても「プロセスで足りないことはなかったと思いたい。監督として最高の景色は見させてもらった」と円陣で感謝。凡事徹底は尽くしたが、またもグッドルーザーでW杯から去る。答えは出ない。【佐藤成】


