[ 2014年2月20日9時27分 ]女子SPの演技を終え、うなだれる浅田真央。右は佐藤信夫コーチ(共同)<ソチ五輪:フィギュアスケート>◇19日◇女子ショートプログラム

 得点を見つめる表情は硬かった。フィギュアスケート女子ショートプログラムで16位に沈んだ浅田真央(23)。緊張で体が動かなかったという演技に、いつもの輝きはなかった。「あしたをどう乗り切るか…」と心細げに語った。

 出場した30人の最後に登場した浅田選手。直前に滑ったロシアのソトニコワ選手が高得点を出し、大歓声が会場を包む中、日本から駆けつけたファンの「真央ちゃーん」との声が響く。

 藤色の衣装を身にまとい、リンクに飛び出すと、何度か大きく息を吐いた。繊細な旋律に合わせて跳んだ冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒。その後も精彩を欠いたままだった。演技が終わると、唇を結んだまま下を向いた。

 インタビューでは「自分でも終わってみて、まだ何も分からないです」と混乱した様子。滑り始めてから緊張を感じ、体が思うように動かなかったという。「強い気持ちを持たなければ、と思い過ぎてしまったかも」と振り返った。

 鈴木明子(28)は、長久保裕コーチ(67)と笑顔で言葉を交わしてからリンク中央へ。コーチが大好きな曲という「愛の讃歌」に合わせ、伸びやかな滑りを見せた。

 「いつもけんかしているけれど、心の底ではとても感謝している。その気持ちを乗せて滑りたい」と話していた鈴木は演技終了後、長久保コーチに肩を抱かれた。ジャンプでミスはあったものの8位につけ「音楽を奏でるように、気持ちを込めて滑ることができた」と語った。

 五輪初出場の村上佳菜子(19)も力を出し切れず、不本意な出来だった。「すごく悔しい。今日は気持ちで負けた」と話し「フリーでは絶対、最高の演技をしたい」と気持ちを奮い立たせた。