強い日差しの下、最後まで力強い足取りで戻ってきたのは19歳の伏兵、ゲブレスラシエだった。

 「鳥の巣」の愛称を持つ国家体育場に入ると、アフリカ東部のエリトリア初の金メダルを確信し、国旗を誇らしげに掲げてゴール。「強い選手に勝ててこんなにうれしいことはない。最高の気分」と歓喜に浸った。

 優勝争いはキメットとW・キプサング(ともにケニア)の新旧世界記録保持者、2012年ロンドン五輪王者のキプロティク(ウガンダ)の三つどもえと予想された。

 だがスローペースの展開で「チャンスがあると思った」と体力を温存。35キロすぎにトップに立ち、経験豊富なツェガエとの終盤の競り合いでも冷静なレース運びで勝負強さを発揮した。