陸上男子100メートルでサニブラウン・ハキーム(20=米フロリダ大)が日本人2人目となる9秒台(9秒99)を出した衝撃は、日本記録9秒98を持つ桐生祥秀(23=日本生命)の闘志にも火を付けた。一夜明けた13日、本紙にコメントを寄せた。

「たくさんの9秒台ランナーが出ることは、日本のスプリント界にとってもいいことだと思いますし、僕ももっと頑張って記録を更新します」

桐生は4月のアジア選手権日本人初Vを飾るなど充実の春を過ごす。2月には奮わなかった昨季の反省を「タイムが抜かれていたら違ったと思うのですけど、1年間持ってしまった」と述べていた。タイムこそ抜かれなかったが、「日本人唯一の9秒台スプリンター」の肩書はなくなる。ライバル山県亮太らも含め、さらなる競争意欲が沸き立つことは、成長の糧になる。

男子400メートルリレーで16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)銀、17年世界選手権銅メダルに第2走者で貢献した飯塚翔太も「自然と9秒台は出ると思っていましたけど、刺激になりました」と話した。

スポーツは数珠つなぎ的に好記録が続出することがある。17年は男子100メートル日本歴代10傑(当時)のうち、その年の記録で6人も埋まった。他の種目では今季すでに、男子は走り高跳び、50キロ競歩、60メートル、1マイル、女子は円盤投げ、50キロ競歩、やり投げなど多くの日本記録が誕生している。男子スプリント界も記録ラッシュが押し寄せそうな気配が漂う。【上田悠太】