陸上男子100メートルの日本記録9秒98を持つ桐生祥秀(23=日本生命)が記録を求めるレースに挑む。布勢スプリントを翌日に控えた1日、会場の鳥取・コカ・コーラボトラーズジャパンスポーツパーク陸上競技場で最終調整をした。

トップスピードを上げるイメージを持って、バックストレートを駆け抜けた。「コンディションもいい。9秒のタイムを狙ってもいい大会。順位よりもタイム。そこを狙っていきたい」と話した。前走のセイコーゴールデングランプリ大阪では世界王者ジャスティン・ガトリン(米国)に0秒01差に迫る10秒01をマークした。ただ最後の20メートルは「ガタガタだった」。以前と比べると少ないものの、腰が前に出て、上体が反る癖が出たと反省する。5年ぶり2度目の優勝を狙う日本選手権前では最後のレースで、その修正も施したい。

会場は五輪、世界選手権で使用されるタータン「スーパーX」で、スピードが出やすいとされる。普段からタータンの感触に興味を示さない桐生だが、タイムを出すには追い風になることは間違いない。過去に2度出場した15年、16年大会とも10秒09と好タイムを出している。今季の充実度を考えれば、日本人初となる2度目の大台突破の期待も高まる。

また会場の雰囲気も後押しとなりそうだ。布勢スプリントはトラック内部の芝の中に観客が入れる珍しい大会。桐生は「観客の皆さんが近い。声援も盛り上がる」と気合が入る。

ここで好記録を出せば、日本選手権以降に大きな海外レースに出場しやすくなる。国際陸連は今季はランキング制度を導入しており、その意義は大きい。20年東京オリンピックへ成長を刻み続けていく。