9秒97を超えていく。男子100メートルで日本歴代3位となる10秒00の自己記録を持つ山県亮太(26=セイコー)が9日、横浜市内で練習を公開した。前日にサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が日本新記録を樹立したことを問われると「出したなという感じ。日本記録を出したいと思っていた。悔しいが、世界を見据え、自分も超えていかないといけない」。その記録は自宅ベッドで、速報ニュースで知ったという。

過去2度の10秒00。9秒台は目前に迫りながら、わずかに届いていない。今季はサニブラウン以外にも、桐生が10秒01、小池が10秒04など好記録を出す中、自身は最高が10秒11。決勝進出が目標である20年東京五輪も近づいている。「1年も無駄にしたくない」という思いもあり、「もどかしさはある」という。今は不調の一因と分析するスタートで、上体が浮かないよう改善する作業に集中する。

サニブラウンらと対峙(たいじ)する日本選手権(博多の森陸上競技場)は王者として臨むが、「去年以上に厳しい戦いになる。自分は挑戦者」と言う。自らの調子を冷静に分析し、「状態を上げていくことが一番。地に足を着け、シーズンベストを狙っていきたい」と話す。昨季から目標は「9秒8台」に置いている。課題を解決した先、記録の更新を狙っていく。

10日は27歳の誕生日。お祝いのケーキと花束も贈られた。「経験をこれまで以上にパフォーマンスにつなげ、いい意味で年齢を感じられる1年にしたい。体が衰える歳でもない。もう1段上がれると思っている」と誓った。【上田悠太】