ネガティブハードラーが、初のファイナリストになる!? 男子110メートル障害で日本記録を持つ高山峻野(25=ゼンリン)が全体5番目となるタイムで、予選を突破した。予選4組で13秒32(追い風0・4メートル)の2着。2大会連続出場となる世界選手権で目標にしていた準決勝に初めて進出した。

「思ったよりも、日本と同じようにいつも通り走れた」と笑顔。ドーハへ出発前は「海外に行くと体調を崩してしまうので。海外に行きたくないなと気持ちが強い」などネガティブな感情ばかりだっただけに、安堵(あんど)の表情だった。

今季は13秒30、13秒25と2度の日本記録を更新するなど絶好調だが、発言や姿勢はとにかく謙虚であり、ちょっと弱気。日本では「なるべく速い選手とは走りたくない」と願っていた。願望通りとはいかず、昨夜、同じ組には、今季世界最高記録で自己記録12秒98のグラント・ホロウェイ(米国)がいて、しかも隣のレーンと知った。「絶望をしていた」と当時の気持ちを吐露。それでもレースは「前に出られるのが分かっていたので。それを踏まえて準備をしました」。想定通りに先行を許したが、力まずに付いていけた。最後は思い切り胸を突き出し、ホロウェイに次ぐ2着を死守した。

予選の13秒32は堂々の全体5番目。五輪、世界選手権を通じ、この種目で日本勢初の決勝進出も夢物語でないようにも思えるが、高山は「タイム的にはちょっと厳しいと思う」。控えめなのは変わらず。たしかに24人中、自己記録13秒25は14番目。ただ、高山の強みは高い次元の安定度だ。中1日で迎える準決勝へは「予選で(調子を)合わせてしまって、準決勝で上げるのは厳しいかもしれない。でも、できるだけ疲労をとって、自分ができることを精いっぱいやるだけ」。らしく抱負を述べた。