互いを高め合う双子の絆は変わらない-。設楽啓太(27=日立物流)が30日、翌日の福岡国際マラソンに向け、「まだサブ10(2時間10分以内)を達成していない。そこを目標に走りたい」と抱負を語った。9月のベルリンマラソンは調子が合わずに回避となったが、以降は順調に練習を消化しているという。「いい状態で迎えられそう」と話した。

レース当日のウオーミングアップ前には、前マラソン日本記録保持者で双子の弟悠太(ホンダ)と会う約束で、レース中は沿道で応援をしてもらうという。悠太は、かねて啓太を「勇気づける走りをしたい」と話している。そんな思いは「僕も同じですね」。今の自己ベストは2時間14分41秒だ。福岡国際で「サブ10」の目標をクリアできれば、20年東京オリンピック(五輪)に逆転で代表入りを目指す悠太にも、大きな刺激を与えられる。

埼玉・男衾中、武蔵越生高、東洋大と同じチームで戦ってきた。学生時代は自分が「エース」と言われていたのに、実業団に入ると立場が逆転した。悠太はハーフマラソン、マラソンと日本記録を作った一方、自身は伸び悩み、移籍も経験した。今夏は悠太に依頼をし、合同で合宿をした。そして少しずつ光も、見え始めた。今月3日の東日本実業団対抗駅伝。ともに3区を走った。結果は悠太が48分0秒、啓太が48分1秒。その差はわずか1秒だった。

「今は力の差はありますけど、僕の中では少しずつ近づいているのかなと思っている」

このまま、くすぶったままでいるわけにはいかない。「一緒に2人で競い合えるレースをしたい」。また兄弟で日本のトップを目指せる日々を思い描き、努力している。

20年東京五輪の代表選考会マラソン・グランドチャンピオンシップで、悠太は14位だったが、スタート直後から単独で逃げる果敢な攻めだった。2人では「MGCについて、そこまで深い話はしない」そうだが、「ものすごく刺激をもらいました」と啓太。固くつながる双子の絆。来年3月の東京で、逆転の東京五輪出場を目指す悠太の心に、今度は啓太が火をともす。