東京オリンピック(五輪)女子マラソン代表の前田穂南(23=天満屋)が五輪イヤーの初レースで、金メダルへの思いを新たにした。大阪のアンカー(9区=10キロ)で登場。11位でタスキを継ぐと、区間4位タイ(31分57秒)の力走で入賞圏内の8位に押し上げた。大阪薫英女学院高では全国高校駅伝を走れず控えだったが、同じ都大路で強さを示した。

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高校時代に無縁だった都大路は温かかった。最終9区。軽やかにピッチを刻むと、沿道から何度も声が聞こえてきた。「オリンピック、頑張れ!」。向かい風のなか、3人を抜いて入賞圏内の8位へ。スピードランナーがそろうなかで区間4位タイ。強さは健在だ。

9日に高地トレーニングを行う米国アルバカーキから帰国したばかり。「時差ぼけというか…。今日のレースは気負わず、楽しんで走る感じで。スピード練習の一環」と話す。15日にとんぼ返りする強行軍になるが、大阪薫英女学院高の安田功監督に誘われる形で昨年に続いて出場を決めた。

高校3年間は、区間距離が短くスピード重視の全国高校駅伝を走れなかった。安田監督は「昔は付き添いをしたり。そういうことが多かった」と振り返る。大舞台を走る仲間の世話係で悔しさを味わう一方、いまにつながる長距離への非凡な適性も示していた。

安田監督 彼女の持ち味は安定した持久性。無駄のない走りで、どこまでも走っていくのが彼女の強み。(いまは)成績が安定しています。さらに磨きをかけて、進化の途上かな。

体の上下動が少なく、着地衝撃などロスも少ない。同監督が「ひたひた走る」と形容するように、静かな走りが印象的だ。それでいてストライドも伸びる。2月上旬までの米国合宿ではスピード強化に専念。心肺機能を鍛えて、五輪仕様のスピード持久力を高めていく。前田も「短いスピード系より長いハーフとか、そういう距離のスピードを上げていく」と説明した。

この日は母校の後輩3人とタスキをつないだ。「チーム一丸となってレースに挑めた」と言い、続ける。「順調ですね。東京五輪イヤーということで、しっかりオリンピックに向けて、金メダルを目指して頑張りたい」。ひたむきに走り、ここまで来た。恩師や後輩たちとの継走もまた、頂点への道のりに入っている。【酒井俊作】