弘前実(青森)陸上部の村上来花(2年)は、ハンマー投げで日本一を狙う女子高生だ。

「今年と来年のインターハイ2連覇」を目標に掲げていたが、新型コロナウイルスの影響で全国高校総体と県総体が中止に。直近の公式戦は7月に開催予定の県総体代替大会となった。現在は自身が持つ高1歴代最高記録の52メートル91超えに向けて、練習のペースを上げている。

昨季は充実した1年を過ごした。デビュー戦の県総体で大会新と県記録を更新して優勝を果たすと、エントリー44人中ただ1人の1年生として全国総体にも出場した。その後も、東北高校新人では2位と約9メートル以上の大差をつけ、唯一の50メートル台で優勝とレベルアップは止まらない。倉水英樹監督(49)は「1年生で50メートルを超えたのは、日本中で彼女が初めて。中学のベストから約20メートルも伸びた。普通の子は階段を1つずつ上がるが、今の彼女は上がったのか分からないくらいに早く上がっている」と目を丸くした。

同ウイルスの感染拡大に伴い、臨時休校中で自主練習期間だった4月中旬。村上は全国総体の中止をツイッターやニュースで知った。「しょうがないという気持ちとショックがあった。ぽっかりと穴が開いた気持ち」としばらく受け止められなかったが、今は「なくなったことによって、自分を見つめる機会ができた」と前を向く。

高校3年間の目標は「高校記録(56メートル84)の更新と、可能なら世界基準の大会出場も目指したい」。急成長中の好素材、弘前から日本一への険しい道も駆け上がる。【相沢孔志】

◆村上来花(むらかみ・らいか)2004年(平16)1月13日生まれ、青森・弘前市出身。弘前一中1年時に陸上競技を始め、弘前実で本格的にハンマー投げを始める。昨年5月の県総体優勝。東北総体は3位で通過し、全国高校総体では11位。昨秋の東北高校新人では大会新記録と自身が持つ県記録を更新。自己ベストは52メートル91。家族は両親、姉、兄、祖母。166センチ。座右の銘は「負けないことより逃げないこと」。