速さだけでなく、一撃必殺で勝負を決める切れ味を磨く-。びわ湖毎日マラソンで2時間4分56秒の日本新記録を樹立した鈴木健吾(25=富士通)がレースから一夜明けた1日、オンラインで会見した。大目標となる24年パリオリンピック(五輪)の選考は、東京のように“一発勝負”の要素を含んだ形になる方向だ。「爆発的に勝負を決める。(そのために)余力度、スピードも必要になってくる」と力を込めた。

勝ちパターンの理想として挙げたのが、東京五輪代表の中村匠吾。19年9月のマラソングランドチャンピオンシップを終盤の“鬼スパート”で制し、五輪切符を勝ち取った。身近にいる富士通の先輩を最高の教科書とする。加えて打倒アフリカ勢に必要な「揺さぶりへの対応」も課題とした。

5回目のマラソンで一気に自己ベストを5分以上も縮めて、歴史を塗り替えた。立場はガラリと変わったが、欲張らず、まずは足元を見つめる。社会人1年目に股関節や膝の故障が続いた経験がある。「けがせず、練習を継続することが大事」。今後はまず、疲労を抜くことに専念する。そして「何か特別な練習というより、日々、コツコツと積み重ねるのが一番大事」。地道な鍛錬を重ね、もっと速く、もっと強い選手へと飛躍していく。【上田悠太】