陸上男子100メートルで9秒95の日本新記録を樹立した山県亮太(28=セイコー)が9日、オンラインで会見した。

24日開幕の日本選手権(大阪)で3位以内に入れば、3大会連続のオリンピック(五輪)代表に決まる。日本新記録の先にある、東京五輪の目標を語った。

「(五輪の)準決勝で自己記録を更新して、9秒台を出して、今度こそ決勝に残ることを達成したい」。

大舞台こそ力を発揮できるのが山県の強さだ。特に五輪は過去に2大会とも自己ベストを塗り替えている。12年ロンドン大会予選では10秒07、16年リオデジャネイロ五輪準決勝では10秒05。今の自己ベストは「9秒95」だ。東京五輪の準決勝でも、過去の自分を超えることができれば…。日本勢では32年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳以来、89年ぶりの決勝進出は現実的に見えてくる。

過去2年は故障に苦しんだ。腰痛、肺気胸、右足靱帯(じんたい)断裂、右膝痛。心が折れそうになったことは何度もある。ただ「近くで支えてくれるチームメートがいて、気持ちを切らさずにやってこられた」と、あらためて感謝を述べた。苦しかった日々も、報われた今は「すごく濃い自己記録までの時間」と捉えられる。

9秒95のレースも「100点ではなかった」と反省すべき点がある。「スタートから中間の加速」も改善点とする。2・0メートルの追い風は背中を押してくれたが、「最後少し足が流れて走ってしまった」とマイナス面もあったという。10日には29歳になるが、まだまだ成長の余地を感じている。

「まだまだ競技人生で満足のいく結果を出せているわけではない」。日本新は通過点だ。8月1日の国立競技場。過去2度の五輪では阻まれた準決勝を通過し、ファイナルのスタートラインまで立つ。その描く青写真を現実と変えていく。