【ユージン(米オレゴン州)=佐藤礼征】男子20キロ競歩で山西利和(26=愛知製鋼)が、日本人初となる世界選手権の連覇を果たした。1時間19分7秒で、19年ドーハ大会に続く金メダルを獲得。優勝候補だった昨夏の東京五輪で銅メダルに終わった悔しさを糧に、王者の貫禄を示した。池田向希(旭化成)は東京五輪に続いて銀メダル。同種目での日本勢のワンツーフィニッシュも初の快挙で“競歩大国”を印象づけた。
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日本人2人によるデッドヒートは、残り900メートルで様相が大きく変わった。スパートをかけた山西が、並んでいた池田を一気に引き離した。過去の日本人は未到の連覇達成。両手を突き上げながらフィニッシュテープを切り、その世界に足を踏み入れた。「うれしいし、誇らしいこと」。前年覇者を表す赤字の“チャンピオンゼッケン”が、一段と輝いた。
レースを支配した。スタート直後、スローペースの展開を嫌い、あえて単独先頭へと抜け出した。「『まずは、みんなこのペースに乗ってきてね』と。レース全体の流れを自分で決定させるのが(狙いの)1つだった」。スタート時の気温は34.8度も、湿度は37%でカラッとしていた。「比較的湿度が低くて(直前の)女子のレースも速かったと聞いていたので、それなりのペースでいっても大丈夫かなと」。気候状況を把握した上で“ふるい落とし”を敢行。地力があるからこそ成せる戦略だった。
優勝候補の最右翼と目された東京五輪は、銅メダルだった。悔しかったが、腐らなかった。日々のルーティンから見直した。小説を読む、アートに触れる、日記を書く、自分の目標を声に出して読む-。日常から心を整えるために、試せるものは何でも取り入れた。「メンタルを含めて、さまざまなアプローチをした」。目標達成に向けて、探求を惜しまなかった。
初日の種目で結果を残し、日本勢に勇気を与えるメダル獲得となった。「日本選手団にいい風を吹かせられた」。前日14日に、25年世界選手権の東京大会開催も決定。「まず来年(23年世界選手権ブダペスト大会)勝たないといけない。無事に僕が競歩界の最前線にいたら、頑張りたい」。歩く求道者に、いやが応でも“V4”の期待がかかる。【佐藤礼征】
○…躍進が止まらない競歩について日本陸連強化委員会の今村シニアディレクターは「新しい1ページが開けたのは良かった」と、山西らに賛辞を送った。22歳の住所が8位入賞を果たすなど、新世代も台頭。「若い選手が育っている実感もある。(来年以降も)世界大会が続くので、選手をしっかりと見極めていきたい」。メダルのターゲット種目として今後も期待される。

