第99回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が来年1月2、3日に開催される。日刊スポーツ東北版では「箱根を駆ける東北魂!!」と題し、東北にゆかりのある注目選手を紹介します。

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山登りで雪辱を期す。順大・四釜峻佑(4年)は箱根駅伝デビューとなった前回大会で、5区を1時間11分44秒で走り、区間5位。不完全燃焼だった。05年、OBの“初代・山の神”こと今井正人(38=トヨタ自動車九州)が、現在よりも100メートル長いコースで区間新(当時)。1時間9分12秒をマークしており、大先輩と同様に「70分切り」を目標にしていた。今大会も山登りが有力。「一走入魂で魂を込めて走り、優勝に貢献できるように区間賞を目指して頑張りたいです」。目安は「70分30秒」。そこから1秒でも速く走る。

四釜にとって今井は“山の神”よりも第一線で長く現役を続ける“すごい人”の印象が強いという。「大学で走っている頃の映像はあまり覚えてなく、長く実業団で活躍している姿が、すごくかっこいいですし、1歩でも近づけたらと思います」。昨年11月、長門俊介監督(38)が順大で同期だった今井を練習に招き、四釜の先生役を依頼。大先輩からいくつもの極意を授けられた中、「『自分がヒーローになってやる』という思いで走ったらいいよ」。メンタルの重要性を説かれたこの言葉が特に響いたという。

ヒーローを目指し臨んだ四釜は前回の5区で苦しんだ。「最初から突っ込んだオーバーペースで入り、途中の失速につながった」。腹痛や足もつった影響でタイムは伸びず。だからこそリベンジへの思いは強い。

「大学に入った頃から強い同期が多く、同期に負けたくない思いが強かった。順大の4年生は一番のライバルで、ここまでやってこられたのは幸せですし、箱根ではライバルながらも、みんなでいい走りをして、笑って終われればと思います」

往路ゴールの芦ノ湖に笑顔で飛び込み、総合優勝に弾みをつける。【山田愛斗】

◆四釜峻佑(しかま・しゅんすけ)2001年(平13)1月7日生まれ、山形県長井市出身。長井南中、山形中央を経て19年に順大入学。自己ベストは5000メートルが13分52秒90、1万メートルが28分36秒03、ハーフマラソンが1時間3分4秒。21年は出雲駅伝で6区区間4位、全日本大学駅伝で8区区間2位。22年は箱根駅伝で5区区間5位、出雲駅伝で6区区間6位、全日本大学駅伝で8区区間3位。167センチ、56キロ。血液型A。